日本食普及の親善大使に就任:すし職人養成学校経営の松田さん

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「日本を代表する気持ちで頑張る」

松尾浩樹首席領事(右)から任命状を授与され笑顔の松田さん

 すし職人の養成学校「スシシェフ・インスティチュート」をトーレンスで経営するアンディー松田さんがこのほど、農林水産省から日本食普及の親善大使に任命された。同校を訪れた松尾浩樹首席領事から任命状が授与された松田さんは、和食の職人としての誇りを胸に「日本を代表する気持ちで頑張りたい」と、任務の全うを誓った。

謝辞を述べる松田さん

 任命式であいさつに立った松尾首席領事は、渡米後の松田さんの活動を紹介し、約40年にわたる和食とすしの普及に寄与したことをたたえた。2002年に開校した学校では、向上心旺盛な生徒が知識と技術を修得し、料理人となってレストランを開店していることを高く評価。1500人以上に上る卒業生が、世界で活躍し日本食の普及・促進に貢献している。昨年にはまた、大型クルーズ船「ホーランド・アメリカン・ライン」で、世界の料理界をリードする権威あるカウンシルメンバーの1人に選ばれたことを称賛した。親善大使としての活動に前途を祝し「今後も日本食の普及と日本産の食材の促進に努めてほしい。ジャパン・ハウスなどとのコラボレーションを継続して知識と技術、和食文化を伝えてほしい」と期待を寄せた。
 政府関係者と生徒、和食関連業者が見守る中、松田さんが謝辞を述べ、親善大使就任後も、日本食に対する情熱を持続して自らを鼓舞しながら日本食の普及のために尽力することを約束した。在校生と同校を巣立った料理人に向け「おいしくて、美しくて、健康的なすしを世界に広めてほしい」と呼びかけた。和食については「すべての食材の中で、食文化と人々にとってとても重要である。これからも最善を尽くしたい」と、任務の遂行を誓った。

刺身の授業でエジプト出身の生徒(右)に切り方を教える松田さん

 日系と中国系メディアに囲まれた松田さんは、自らの学校での教育について「個人的な活動」と謙そんしたが、親善大使の就任には「日本政府から任命されたことを重く受け止め、日本を代表する意味も持ち、今以上に責任を果たしたい」と気持ちを新たにした。
 開校から17年、世界35カ国から1500人を超える生徒を受け入れている。「9割近くが日本人以外で、有名なシェフにもなっていて、自分の生きがいになっている」と胸を張る。その一方でチベットやモンゴルなどシーフードがなく、すしを食べたことがない生徒もおり「食文化の違いを理解させ、おいしいと思わせるまで時間がかかり難しい作業」と話した。
 日本では、職人は厳しい修業に耐え、一人前になるまでに長い年月を要する。一方、松田さんの学校では2カ月で卒業するため、疑問に思う日本人もいるが「テキストとビデオを使って体験実習を重ねて、シャリを炊く、魚をおろす、握る、巻き物を巻く、包丁を砥ぐなど、基本を徹底的に教え込む」と説く。卒業して職に就き腕を磨き独立して念願の店を開けて繁盛させ成功を収めたり、フード雑誌で紹介されるトップシェフもおり、短期養成を実証していて、松田さんの「生きがい」が頷ける。
 今はコメの炊き方から魚のおろし方などの仕込みを、インターネットの動画で見て学ぶことができる時代になった。だが「『すしの形』は作れるが、それが見た目がきれいで、口に入れて安全でおいしいものかは別物」と異議を唱える。「すしは、ただ魚をご飯に載せるだけではない」と教えており「魚の選択からおろす、握る、保存までの行程すべてに意味がある。それが日本の伝統の技で、それを教えている」と強調する。

刺身の盛り付けを教える松田さん(中央右)

 5年ほど前から世界三大クルーズの一つの会社から和食の監修を任され、最新のクルーズ船に12席の本格的なすしカウンターをオープンさせた。アペタイザーからメインディッシュ、すしのコンビネーションまでをアレンジ。世界を旅するクルーズでは食材の現地調達も必要といい「メニューがどれだけ品質と衛生を維持できるか、かなりのプレッシャーがあった」と明かした。だが「『客が増え満足してもらっている』と本社から聞き、うれしく胸をなで下ろしている」
 船内のダイニングについて「他の国の料理は揚げたり、焼いたり、煮たりするけど、生魚を扱うのは、すしの調理場しかない。だから安全面でかなり気を配らなければならない」と力を込め、ユネスコの世界無形文化遺産入りした和食の威信にかかわる重責を担っている。
 松田さんの乗船は年に2、3回で、1回につき1週間ほど。同社が保有する16隻のうち4隻の和食ダイニングを取り仕切る。すべて同じコンセプトを持ち「まだ始まったばかりなので、新しいメニューも取り入れたい」と意欲を示す。
 晴れて就任した親善大使は「だし、吸い物、すし、刺身、包丁など、日本の伝統に沿った正しい育て方をしているのが認められたと思う。和の伝承と教育には意味がある」と、使命感を燃やす。【永田 潤】

見る者を圧倒する松田さんの飾り切りは芸術の域に達する

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