来賓や一般来場者が見守る中、現代文や詩歌を題材に、カナと漢字で表現した「近代詩文書」の席上揮毫を行う加柴律子副理事長。ベテラン女流書家の筆遣いに感嘆の声があがった
生田観周師の遺墨2作品
 米国書道研究会の「女流書家六人展」と「米国書道研究会選抜展」が5日、日米文化会館のドイザキギャラリーにベテランと若手の20人の40作品が一堂に並べ同時開幕した。来賓に武藤顕総領事、海部優子・ジャパンハウス館長、日系社会諸団体の代表、各界の文化人などを迎え、会長と2役員が席上揮毫を披露し2展の幕開けを祝った。

 米国書道研究会は、故生田観周師が1965年に創立した。以来、ロサンゼルスを拠点に全米各地に支部を設立し「日本の書」の普及と「書」の心を伝えている。今展示では生前の師の威厳を思い起こさせる遺墨2点が飾られ、会場の空気をいっそう引き締めている。
 竹花晴夫理事長によると、同会の書道を学ぶ目的は、自分を磨く、日本開催の書道展に出品し競う、米国で日本の伝統文化を披露する―の3点。会員は向上心を持ち米国内はもとより、産経国際書展や東京誠心社展など日本の権威ある書展に出品。入賞・入選作を多く出し、受賞を励みにいっそうの努力を重ねる。各イベントでも実演し、書道の普及に努めている。

女流書家六人展の作品を背にあいさつに立つ生田会長
 昨年は、東京アメリカンクラブ・フレデリック・ハリスギャラリーで4週間にわたり「女流書家六人展」を催し高い評価を得た。今回の展示は、同じメンバーが出展し、その中から席上揮毫を生田博子会長、ラモス逸子と加柴律子両副理事長の3人が行い、勢いのある筆遣いに感嘆の声があがった。
 選抜展は、若手を中心にカナと漢字を用い基本に忠実な現代書の力作が並んだ。
 生田会長があいさつに立ち、両展示会について「令和元年に意義深い書道展を開催できた」と感慨深げに語った。同会は米国内で活動しながら日本との絆を深めており「恵まれた環境の中で国際的な文化交流による日米友好親善にささやかながら
席上揮毫の作品を披露する加柴律子副理事長
一端を担う責任と自覚を与えられたことに感謝しながら日々精進してきた」と語った。来年の創立55周年の記念展に意欲を示し「55年間で世代もすっかり若くなり、3世、4世へと移りつつある」とし、次の世代への新進書家の育成に意欲を示した。
 展示は20日まで行われ、時間は正午から午後4時まで。月、火曜が休み。19日午後1時から生田会長と同会役員が席上揮毫を行う。【永田潤、写真も】
女流書家六人展(左側)と選抜展(右側)の作品を鑑賞する参加者

書展の開幕を祝って乾杯。右端から武藤総領事、4人目が生田会長

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *