秋の「主役」が随所で存在感:季節感漂う色濃い草花で表現

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池坊ロサンゼルス支部花展

芸術の秋に相応しいさまざまな秋の花材を用い巧みに表現した作品が来場者を魅了した

ススキとコスモスを交ぜ生けした野村才子さんの作品

 いけばなの池坊ロサンゼルス支部は、季節感が漂う秋の色濃い草花などで表現した作品約60点を一堂に展示した花展をアーケディアのロサンゼルス郡立アボリタム植物園で12、13の両日開催した。メンバーが思い思いの発想で選んだススキやコスモス、柿の実など、秋の花材の「主役」が随所で存在感を示して会場を彩った。

 今回は年に一度の大きな展示で、主に生徒の努力の成果を発表することを目的にする。約50人の生徒と約10人の教授の作品を紹介。このたびはまた、初めて会場をアーケディアに移したところ、植物園の来園者が続々と訪れ、レクチャーも行って華道家冥利に尽きる花展となった。

 赤松律子前支部長によると、素材は秋らしくススキやコスモス、柿、栗、もみじ、赤みがかった南天、ツルウメモドキ、ムラサキシキブ、ワレモコウ、ユキヤナギなどを用いているとし「みんな季節の花や木を使って工夫して上手く生けている」と評価した。「交ぜ生け」と呼ばれる複数の素材を組み合わせた巧みな表現も多く見られた。
 サルセド秀雲支部長は、今回の初めての会場を気に入った様子で、いけばなに興味を持つ人に加え、来園した一般の人々が気軽に立ち寄ることが大きいといい「ここに来る人

柿やススキなどを用いた浜田美恵子さんの作品

は、花や植物を愛する人なので、池坊の作品を熱心に見る人ばかりということが分かった。池坊という名を知らなくても『フラワーショー』ということだけで、興味津々に次から次へと入って見てくれる。このような大きなスペースで開けて、大勢の人々に見てもらえてうれしい」と喜んだ。今回はテーマを設けず「自己の感性に任せて表現してもらった」と言い、あえてテーマを付けるなら「フィーリング・オブ・オータムン」と語り、「春の展示の花材の鮮やかな色とまったく異なる」と強調。「夏が過ぎ、10月に入ると家の裏庭の花々や木々、葉を見て初秋を感じとるのと同様にこの展示では秋の紅葉の色と、秋の花材を見て季節を感じることだろう」
 オクシデンタル大の学友でともに1年生の2人は、初めて来園し偶然に花展があり「鑑賞できてとてもラッキー」と口を揃えた。生物学を専攻するアリックス・リブモアさんは出身地のボストンで、いけばなをこれまでに数度見たことがあるというが、「これだけたくさんの違った種類のきれいな花を見るのは初めてで圧倒されている。(紅葉した)オレンジ色や黄色、そして全体的にダーク色が多く見られて、秋を感じた」と述べ、お気に入りの1点として入口中央に飾られたサルセド支部長が生けたバード・オブ・パラダイスを挙げた。環境学を学ぶルーシー・パトリッジさんは「一般の家庭に飾る花とは違い、花瓶に入っているのに自然の花のように感じて不思議に思う。生けたアーティストが、創意工夫した様子が分かる」と称賛。8月に大学生活を始めたばかりで今は学業で忙しいが「いつか日本のいけばなを基本から真剣に習って作品を家に飾ったり、この展示のように人々

作品を鑑賞するアリックス・リブモアさん(手前)とルーシー・パトリッジさん

に見てもらい喜んでもらえる作品が作れるようになればうれしい」と語った。
 南谷泉芳教授に師事して約1年の古谷恵美さんは「元々花が好きで買ってきて家に飾っていて、いつかいけばなを習いたいと思っていた」と話し、始めたきっかけは、たまたま教室を見学したロングビーチの日系コミュニティーセンターがレイクウッドの自宅から近く、習い始めたという。今は「生花」のスタイルを練習しているが、会場に飾られた「立花」のスタイルで生けた南谷師を目標に稽古に励んでいる。勉強のためにさまざな流派の作品を見るが、「やはり、いけばなの元々の池坊が自分にとても合っている。普段の生活では考えない花をどこから見れば美しいかを重要視して、正当派でいい」と語る。さらに、センターピースとして全体から見た感じを表現する洋風のフラワーアレンジメントとも比較して「池坊は床の間に飾って正面から見て美しく見せる点が違い、とても奥深い」と強調し「花を自然体で最も美しく生かすのが難しい。そういうところがまた面白い」と力を込めた。

南谷泉芳師の作品を撮影する弟子の古谷恵美さん

 古谷さんはこれまで、コミュニティーセンター内のイベントの中での展示に参加したことがあるが、今回は事情により出展を見合わせた。広々とした会場を見渡し「天井が高く、その高さに合わせて皆さん生けているようで、次の機会に出したい。普段は考えることはない秋の季節の花や草木を使っていることが分かった」と話した。南谷師に付いて会場を歩いて見回り、作品の特徴の説明を受け、「こういう生け方があるのか、こういう花材があってこういうふうに使えるのか、などすごく参考になった」と収穫を得た表情で話した。自宅で花を生ける時間を作って集中するのが精神的に良いと言い「美を探求し、どうしたら花が一番美しく見えるのかを考える。どの枝、どの花を使えば一番美しく見えるかを考えて表現する。そういう機会は、始めるまでなかったので生活が変わった」
 会員はいけばなに情熱を傾け、日本の最新のスタイルを取り入れるため、今年も本部から

サルセド・秀雲支部長の秀作で、「生花正風体」で生けられたバード・オブ・パラダイスを鑑賞する来場者

教授を招き先月の4日間の講習会に参加し腕を上げた。サルセド支部長は「生徒はみんなエキサイトして、このチャンス逃すまいと熱心に学んだ。こうして向上心を持つことが、上達する上で大切なこと。今回の展示で生徒が講習会で学んだ成果を見てもらえたのではないか」と述べた。展示開催の意義について「『私はまだ未熟なので出展できない』というビギナーでさえも展示に向けて創作意欲を出し、経験を積むことで次に進もうとする。それが上達につながる。展示会で作品を見てもらったり、他の作品を見て刺激されたり、感動することで、もっと学ぼうとする。それは、熟練者でも中級者でも初心者でも同じだと思う」と述べた。【永田潤、写真も】

お気に入りの作品を写す参加者が多く見られた

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