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道をつくるアラフォー

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 羅府新報で取材をしていた頃、県人会のイベントではいつも高齢のメンバーがお祝いされていた。「生涯現役」「80歳になってはじめて高齢者の仲間入り」と明るくポジティブな言葉が懐かしい。
 日系社会と同じく高齢化が急速に進む日本。こちらの雰囲気は全く違う。「老後レス時代」「2040年問題」—人生はお先真っ暗といわんばかりのムードが漂う。ある記事では「老後が怖い」「安楽死できる施設をつくって欲しい」という声も紹介されていた。
 「60歳まで一生懸命働いてあとは老後を優雅に」というのは、ロスジェネと呼ばれる私の世代にとっては夢物語。日本社会はいまだに終身雇用をひきずる。会社にしがみつき自分のポジションを死守する「老害」や「お局」がはびこる職場で、若い人材が活躍できるチャンスは限られている。
 ある有識者は大企業のサラリーマンを「逃げ切りの50代」「揺れる40代」「不安な30代」と評していた。「人生100年時代」を見据えて日本政府も中途採用を増やしたり就職支援をしたりする政策を進めているようだ。しかし、逃げ切り世代が組織のトップに君臨するこの国で果たしてどこまで効果があるのか疑わしい。
 30代をアメリカで過ごしダイバーシティに浸かった日本人の親友2人と私。ともに揺れるアラフォー女性3人は新しいステージに進もうと転職活動をしている。書類を準備して面接を受ける模索の日々だ。
 ひとりは日本の、もうひとりはヨーロッパの国際機関で働いている。より研究に専念できる方がいいか、現場をもっと大事にする方がいいか、いっそ民間企業はどうか、悩み続ける。私は外資系メディアに移る道を探っている。
 若い人材を大切にしない旧態依然とした日本の組織に、私たちが自分らしく活躍できる場所がないということはもはや3人に共通した認識だ。何かに必死にしがみついたり、保身に走ったり、守りに入らなくても、強い意志を持てば道を切り拓いていける。私たちの人生はまだまだ折り返し地点にも達していない。
 こうして書いている間に連絡がきた。親友2人はひとまず途上国支援をする国際機関と、某有名大学の准教授のオファーをもらった。さあ、次は私の番だ。【中西奈緒】

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