ハリウッドビジネス変遷期

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 ネット環境を含めたデジタル技術の急速な進歩により、映画を家で、もしくはデバイスを持参してどこでも気軽に視聴できる便利なストリーミング配信が可能になっている。
 月々の有料定期購読者(SVOD=Subscription Video On Demand)システムによるNetflixが台頭し、Hulu、Amazon Primeが続く。最近、全米6千万人を含む世界で1億5800万人購読者を記録し、世界人口数第2位のインドからさらに1億人の増加を目指すNetflix の独り勝ちに対抗しようと11月にApple TV+やDisney +がローンチ(開始)された。さらに来年4月には、元ディズニーでドリームワークスの創設者の一人であるカッツェンバーグがQuibiを、NBC ユニバーサルがPeacockを、5月にはワーナーブラザースのHBO Maxが開始予定で、配信分野での激戦に益々拍車がかかる。
 映画館が遠ざかりつつある素朴な一映画ファンとして、こんなニュースが目に入った。メジャーの映画製作スタジオ側が、上映する映画館を独占的に所有することを禁止した「パラマウント訴訟(もしくはパラマウント同意判決)」法令を、アメリカ司法省(DOJ)によって撤廃する(2年間実験的に施行予定)というものだ。弱い立場の独立系のプロデューサーの作品が上映できない不公平な市場の状況にフェアな競争を訴え、彼らを守る目的であった。
 1948年に制定されたこの規制は、現代の消費者の有益にそぐわないという司法省の見解だ。WGA(全米脚本家協会)やDGA(全米監督協会)は、独立系の公平な競争が妨げられるとして、すぐさま撤廃に反対の声明を発表。
 Amazonが昨年からLandmark劇場チェーンを買収しようとしている。またNetflixがハリウッドの歴史的映画館のエジプシャン・シアターの買収を狙い、Appleもストリーミング前に劇場公開させる目玉作品もある。
 アカデミー賞候補対象になる作品は、年内にロサンゼルス郡の商業映画館で、1週間連続で有料上映が条件だ。つまり皆これを狙っているわけだ。そしてNetflix、Amazon、Appleは、1948年には存在していなかったので、その法令には適応対象にはならないらしい。
 消費者に最善なのは、常に安く楽しく『秀作』が鑑賞できる状況が複数あり、選択できることだ。今後の見直しと情勢に注目したい。【長土居政史】

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