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古くて新しい江の島

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 暮の江の島を訪れた。
 江の島は、相模湾に浮かぶ小島だ。東海道を人々が歩いて往来した頃の江の島は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」や歌川広重「東海道五十三次」など多くの浮世絵に登場する。
 湘南の海岸から西方向に江の島を望むと、後ろには富士山の姿が見えて、それだけで一幅の絵になる。干潮時には歩いて渡れるが、満ち潮の時は小舟に乗るか人の背におぶわれなければ島へは渡れないというのは、人の心を引き付けるのに十分な要素だっただろう。
 岩屋と呼ばれる奥行150メートル超の浸食洞窟は古くから修行の場となり、島内は弁財天をはじめ多くの信仰の対象ともなってきた。
 その江の島は、明治になって橋がかけられ、今では自動車で渡ることが出来る。そのため海の中に現れた道を歩くスリルこそ失われたものの、島は浮世絵に描かれた景色のままに存在。江戸の頃と同様に今なお多くの人々を惹きつけ、参道は観光客でにぎわっている。
 江の島はまた、ヨットハーバーが建設されて1964年東京オリンピックのセーリング競技会場となった。そして来年夏の「東京2020大会」でも再度セーリング会場となる。
 64年東京オリンピックのセーリング競技が5種目だったのに対し、東京2020は男子5種目、女子4種目、混合1種目の計10種目で競われる。ウィンドサーフィンボードを使用した種目(RS・X級)もあれば、双胴艇を男女混合で操船する種目(ナクラ17級)も。日本でヨンナナマルキュウと呼ばれる種目(470級)は、艇の全長が470センチメートル。適正体重が2人で130キログラムと日本人の体格に適していることから、日本選手にもメダルが期待されているという。
 訪れた日はあいにくの曇り空で富士山は見えなかったが、頂上の展望台に上ると三浦半島から伊豆半島に至る海岸線と伊豆大島を望めたほか、きらびやかな夜のライトアップも楽しんだ。島内ではオリンピックを前にトイレの新装工事が進行中。
 古さと新しさが併存する江の島。正月には初日の出の人出でにぎわうとか。来年夏はオリンピックでにぎわうことだろう。【楠瀬明子】

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