「タトゥーお断り」論

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 私の周りで最近、日本を観光で訪れるアメリカ人家族が増えている。今春の日本行きを計画している家族からは、おすすめのホテルを聞かれ、せっかくなので温泉がある宿が良いのでは、と話した。しかしその後、しまったと思った。その父親にタトゥーがあるのを思い出したからだ。
 日本の観光庁が2015年に実施した全国宿泊施設への入れ墨に関するアンケートでは、回答した約600施設のうち、入浴を断っている施設が約56%で、シールなどで隠すなどの条件付き許可が13%、断らないが31%だった。入れ墨をした人の入浴に関したトラブルは全体の8割が「ない」と回答したが、入れ墨をした人をめぐる苦情については「ある」が約47%だった。
 日本では、スーパー銭湯がブームになった80年代から、食事やアルコール類も提供されて滞在時間が長くなる中で、暴力団関係者らへの一般利用者の苦情が増え、利用者が減ったため、施設側が「入れ墨お断り」で対応した経緯がある。日本の入れ墨は、今でも反社会的勢力のイメージが根強いが、海外のタトゥーはそれと異なり、宗教、文化、ファッションなどの要素が強い。
 昨秋日本で話題になったラグビーW杯では、入れ墨の伝統文化があるニュージーランドの選手に配慮し、宿泊先の大分県が入れ墨OKの温泉施設を英語サイトで紹介する画期的な試みを行ったが、別府市内の入れ墨許可施設は3割にとどまった。
 アメリカでも、タトゥーはギャングの象徴でマイナスイメージが強い時代があったが、現在は10人中3人にタトゥーがあり、その人口は年々増えているという。息子の小学校では、優秀な教師賞にも輝いた人気教師の腕にカラフルなタトゥーがあったし、米寿記念にタトゥーを入れるグランマもいる。
 観光庁の調べでは、訪日前に期待していたこととして、訪日外国人観光客の約3割が「温泉入浴」をあげている。日本の文化で観光資源の温泉を、多くの外国人に体験してもらいたい。今夏東京五輪・パラリンピックも開催され、訪日外国人が急増する日本で、「違い」に対する免疫力が高まることを願いたい。【平野真紀】

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