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2020年、親切の連鎖

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 新年の幕開けには何か良いことが起こってほしいと思うもの。今、人口わずか1万人の小さな町で起こった「親切の連鎖」が全米中で話題となっている。
 23ドルの食事で受け取るはずのチップの額に女性は驚愕(きょうがく)した。ミシガン州のとあるレストランで働いていた接客係の女性が、1組のカップルから受け取ったチップの額は今年の2020年にちなみ破格の2020ドル。そしてレシートには「Happy New Year」のメッセージ。新年早々、なんて心弾むうれしいサプライズだったことだろう。そしてこうもつけ加えられていた。「2020チップチャレンジ」
 ダニエルさんというこの女性は客のカップルに特別な接客はしていなかったという。ただ心を込めて人と接するよういつも務めてきた。
 「私みたいな人にこんなことは起こらないのに―」。そう話すダニエルさんは31歳のシングルマザー。1年前は薬物中毒で、シェルターで暮らすホームレスだった。今は薬物中毒から更生し、人生の再出発を図るべく接客係として働いていた。
 この新年の「お年玉」とも言える出来事は彼女の人生を大きく変えたという。「お金より大事なものは『気持ち』」。同じ夜、ダニエルさんはレストランに食事に出掛け、自分を担当してくれた接客係に20ドル20セントのチップを渡した。「これが私が人から受けた親切を別の人に返す手段」。2020ドルは無理でも、彼女なりに親切の連鎖を繋げていきたかったようだ。
 この出来事に数年前に起こった「アイス・バケツ・チャレンジ」を思い出した。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療研究を支援するため始められたチャリティー運動で、氷水が入ったバケツを頭からかぶる動画をソーシャルメディアに投稿し、寄付を促す募金運動で著名人も参加し社会現象となった。
 ロサンゼルスはホームレス問題が深刻化している。今回の出来事はダニエルさんのようにかつてホームレスでも、懸命に働けば人生の再起を成し遂げられ、そして良いことはふと舞い降りるのだということを伝えてくれているような気がした。
 チップを残したカップルのメッセージは今年各地で広がっていくのだろうか。乞うご期待だ。【吉田純子】

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