正しい情報発信と理解を

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 節分を終え、暦の上では4日から春。梅のつぼみは開き、かぐわしい香りが春の訪れを私たちに知らせてくれる。節分には無病息災を願い豆まきをするのが日本の風習だが、今年は人々の思いもひとしおだったことだろう。
 中国で発生し、世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルス。感染拡大が続く中、今各地でアジア系住民への人種差別が報告されている。
 感染者が報告されたフランスでは先月26日の地元紙に「黄色人種警報」との見出しがついた記事が掲載された。フランスではアジア系住民が差別的な言葉を浴びせられるなどの被害が相次いでいるという。
 アジア系住民がウイルスだけでなく、差別にも脅かされる事態となり、ツイッターなどのソーシャルメディアには「#私はウイルスではない」とフランス語でハッシュタグをつけた投稿が拡散。一連の差別に抗議する動きも出てきた。当然、前述の新聞社は謝罪に追い込まれたが、正しい情報を読者に届けるはずの新聞社が、このご時世に偏見にとらわれた情報を発信したことに、聞いていてあきれる。
 中国からの観光客から感染者が確認されたイタリアでは、名門音楽院がアジア系学生に対し、授業への出席を禁止する措置を取った。これに対しても「人種差別だ!」との批判の声が相次いだ。
 日本も例外ではなく、早くも風評被害がでている。武漢からの日本人帰国者の中からも感染が確認され、感染者が搬送された病院に勤務する医療従事者の子どもたちが今、学校でいじめを受けているというのだ。帰国者は千葉県勝浦市にあるホテルに滞在しているのだが、そのホテルの従業員の子どもたちもまたいじめにあっているという。
 終息の見通しがつかない新型ウイルスをめぐり、なぜ人はこんなにも簡単に集団ヒステリーに陥ってしまうのだろう。人から人へ感染するウイルスだから、誰だって感染は怖い。だがこうした事態においても人種による偏見が引き起こされ、根拠のない考えからいじめまで発生しているとは残念でならないし、決してあってはならないことなのだ。世界中が固唾をのんで現状を把握しようとしている時だからこそ、正しい情報の発信と理解が求められている。【吉田純子】

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