熱く燃えた1カ月

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 8年生の息子が今年初めて中学校のサッカー部に入り、約1カ月間のシーズンを終えた。1月に3日間かけて行われたトライアウトには75人の7、8年生が挑み、19人が選ばれた。息子は、このトライアウトで珍しく本気を見せた。入りたい部活に誰でも入れた私の中学生時代と比べ、日米の違いを感じたが、努力してポジションを勝ち取った分、学校を代表して戦うのだと勇む選手たちのスピリットは初戦から明白で、一戦ごとに結束力は高まっていった。
 チームには、息子が5歳でAYSOのサッカーを始めた頃からの友達が何人かいて、親同士も久しぶりの再会を喜んだ。遠征試合時に選手らを送迎するボランティア運転手に立候補した私は、ぎゅうぎゅう詰めの車内で、試合の戦略を話し合うティーンエイジャーたちを誇らしく思った。穏やかな性格で好評の監督は、試合中、選手たちを鼓舞する時、語尾に必ず「son」と付け、選手全員を自分の息子のように扱ってくれた。
 シーズンは好スタートを切ったものの、決勝戦前の試合でゴールキーパーが足を骨折するトラブルに見舞われ、優勝は逃した。しかし、多くを学び、ともに成長した濃い一カ月間だった。
 遠征した中学校の一つでは、コロナウイルス感染者との接触者が登校した可能性があるということで、校内の大規模消毒が実施されるなど、迫り来るコロナパンデミックの足音を聞きながら、走り抜けた一カ月でもあった。
 日本では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、春の選抜高校野球大会の中止が決定された。出場予定だった長崎・創成館高校の稙田龍生監督は、選手らを前に、「誰も悪くなく、見えない敵に負けたということ。長い人生の中ではこういうこともある。つらさを乗り越え次に向かって行くしかない」と、悔しさをにじませて話した。
 その創成館高校が今、大きな看板に力強いメッセージを記し話題になっている。「春の忘れ物は夏、取りに行きます。暖かいご声援ありがとうございます」というポジティブな言葉だ。そうだ、前を向いて行こう。高校球児たちの夏の活躍に期待しながら。【平野真紀】

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