COVID・19に学ぶこと

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 自宅拘束になって早くも3週間、職種にもよるだろうが、私のようなコンピュータ音痴には自宅で大した仕事ができるわけでもない。こんなシニアは現場に居てこそ何とか使い道もあろうというもの。
 世界中が見えない疫病との戦いの最中、自宅拘束くらいで文句を言うつもりはさらさらない。拘束といっても、座敷牢に閉じ込められているわけではない。必要ならば食品の買出しにも出られるし、街路を運動のために歩くこともできる。要は節度を守ればよいわけである。
 全米の失業保険の申請が660万件を超え、シカゴでは4月のレントを払えない家族が管理会社や市の住宅局を相手にレントの支払いを拒否してデモを始めた。職場が閉鎖されればたちまち収入の道が閉ざされ、食費にも事欠き暮らしのリズムは崩れて立ち往生することになる。このような世界規模の災いが常に起こるわけではないだけに、人々に備えが無いのである。
 大地震や津波に襲われた経験があれば、人々はそのための心構えができて、備えをするものである。私の尊敬してやまないアイバ戸栗さんが生前言った言葉を思い出した。
 「若い人は働き始めたら、まず一年分の収入を目標額として貯金するべきですよ。一年分の蓄えがあれば、急に失業しようが、病気をしようが、火事に遭おうが、人間はなんとか立ち直れるものなのよ。誰でも若いときは、楽しむことを優先させてしまうけれど…」
 なるほど、いつ何が起こるか分からない戦中戦後を貧しい日本で過ごし、戦争が終わればスパイ容疑で愛するアメリカと戦わねばならなかった彼女には、常に災いに対する心構えができていたのだと思う。
 食事の前やトイレの後には手を洗うとか、外から帰れば靴を脱ぐとか、咳が出れば他の人に移さないためにマスクをするなど、日本では子供の時から教えられて習慣になっていることを、アメリカ社会では今COVID・19に教えられているようである。
 人間がコロナウイルスを克服したとき、私たちは果たしてこの災いから、何かを学んでいるだろうか。【川口加代子】

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