国勢調査で強い存在感を示す :「私たちをきちんと数えて」

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増える気候難民・太平洋諸島民

「出身の島を明記することがコミュニティーにとって重要」と話す太平洋諸島地域タスクフォースのタウアニュー・ベーさん

 新型コロナウイルス大流行の脅威に誰もが必死になっている中、太平洋諸島コミュニティーの活動家とメディアの代表が外出禁止令が出る直前、サンフランシスコ郊外のサンマテオに集まり2020年国勢調査について意見を交換した。これをオンラインやラジオを通じて視聴していた人々約100人も自分たちの視点で街の声を述べた。エスニック・メディアサービスのマーク・ヘディンさんが伝える。

 「私たちは税金を払い義務を果たしているのだから、国勢調査で私たちを認めてもらうべきだ」と意見を述べたのはコミュニティー団体「ポリー・バイ・デザイン」のナッキー・モーリさん。自分を「誇り高きサモアの女性」と呼び、「アイランド・ブロック・ラジオと組んでアラスカからメキシコまでリスナーに国勢調査の意義を伝える仕事に興奮している」と言うモーリさんは、「私たちをきちんと数えてもらわなくてはならない」と話した。

国勢調査の回答を呼び掛けるコミュニティー団体「ワン・イースト・パロアルト」のホームページ

 ヘルスケア、教育、開発など、何百もの政府のプログラムやプロジェクトに支出される年間1・5兆ドルの連邦政府予算の元となる国勢調査データは米国社会に浸透している。教育支援における役割について、サンマテオのジェファーソン学区評議会のマニュアフォ・リアイガ・アノアイさんは、「国勢調査は人々に力を与える。教室での教育には予算が不可欠。予算を得て、将来の世代の子供たちに多くの教育資源を与え続ける必要がある」と述べた。
 話し合いの中で口を開く誰もが、国勢調査で「アジア系アメリカ人」の一部として扱われている太平洋諸島民を「独立」させることの重要性と、太平洋諸島民のアイデンティティーをさらに区別する戦いを示唆した。「私たちは目立たないコミュニティーだが、貧困意識でなく戦士の気持ちで立ち向かい続けている」
 パシフィック・アイランダーと呼ばれる太平洋諸島のコミュニティーは実は非常に多様だが、これまで国勢調査で出身地を特定する方法はほとんど無かった。国勢調査の「アジアまたは太平洋諸島」のグループの選択肢は、中国人、フィリピン人、韓国人、ベトナム人、日本人、アジア系インド人、ハワイ人、サモア人、グアム人、そして「その他の太平洋諸島民」がある。この最後の選択肢に詳細を記入する「書き込みボックス」があり、ここにトンガ人、フィジー人などと書き込むことになっている。
 過去には2000年に、グアム人の選択肢に「またはチャモロ人」が追加され、「その他の太平洋諸島民」が「その他のアジア人」に代わる書き込みボックスとして登場した。
 10年の調査ではハワイ先住民と太平洋諸島民の総人口は120万人で、半数以上がハワイまたはカリフォルニアに住んでいた。コミュニティー団体「ワン・イースト・パロアルト」「OCPICA」のアリシ・ツルアさんが示した資料によると、その数は18年までに140万人に増えたと推定されている。ミクロネシアのカロリン諸島など赤道気候の地域からの人口急増は、気候変動による海面上昇が原因の最初の難民流入と言えるかのようだ。
 

太平洋諸島の国々の母国語で書かれた2020年国勢調査のフライヤー

「移民は避けられない現実だ」と話したのはサモア系の団体「サモアン・ソリューション」のエピ・アウマバエさん。「住む場所がなくなれば移動するしかない。なおさら今年の国勢調査に意気込まねばならない」と強調した。「なぜなら、今年カウントされた数は、次の10年間の政府予算配分の基礎になるのだから」。気候難民は自分たちのコミュニティーがすでにある場所に引き寄せられるので、これからも人口は増加するだろう。
 過去には00年から10年の間に、グアムまたはチャモロを回答した人の数は60%増加し、サモアは38%増加、ハワイ先住民(ネイティブハワイアン)は31%増加した。また、「その他の太平洋諸島」をチェックして「トンガ人」と書いた人は55%増加し、「タヒチ人」の書き込みは53%増加した。
 しかし、他の人口はさらに劇的な成長を示した。ミクロネシア連邦のチューク州544%、同コスラエ州301%、同ポンペイ州194%、同ヤップ州177%、ソロモン諸島388%、マーシャル諸島237%、カロリン諸島201%、マリアナ諸島177%、 フィジー138%、キリバス129%、サイパン117%、パラオ115%、パプアニューギニア86%、トケラウ61%。
 「私たちは気候変動の真実を理解している。南太平洋からの大規模な流入が見られ、イーストパロアルトは氾濫原の様相だ」と指摘したのは、イーストパロアルト出身で、サンマテオ大学の学生のシャアナ・ウヒラモエランギさんである。
 国勢調査局カリフォルニア地区のソーニャ・ログマンさんは「公正にコミュニティーを代表し、意見を届けることは非常に重要だ」と述べた。州政府は、国勢調査で州民の全数を確保するために1億8720万ドルの経費を投じており、「気持ちは同じ」と話した。
 国勢調査でカウントされること、ルーツを特定することが、自分たちと未来の仲間を守ることになる。このメッセージを強調するために、アウマバエさんは会議の参加者とリスナーに向けて、「今、私たちは(新型コロナウイルスの影響で)面と向かって話をすることができない状況だが、家族や親戚に電話をかけて話そう。この国勢調査では自分の出身の島の名前を書き込んで、この政権と今後の政権に対して私たちがここにいることを伝えよう」と呼び掛けた。
 回答専用ウェブサイト― 
 my2020census.gov
 日本語案内ウェブサイト―
 https://2020census.gov/ja.html
 その他の質問の回答や不審なうわさに関するサイト(英語)―
 https://2020census.gov/en/news-events/rumors.html
 回答率が見られるサイト(英語)―
 https://2020census.gov/en/response-rates.html【訳=長井智子】

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