ウイルスの怖さ

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 アメリカでは、COVID・19の感染者が最近また新たに急増してきた。対策本部の一員として重要な任務を担うアンソニー・ファウチ博士は、「群衆には入るな、もし入るのならマスク着用を確認しなさい」と警告した。
 ところでかれこれ10年以上も前になるが、企業用プロモーションビデオ制作の発注を受け、撮影隊クルー7人程でロサンゼルスからメキシコ、ソノラ州の養豚場まで出掛ける機会を得た。飛行機で約2時間、州都エルモシージョという情緒あるすてきな街に降り立ち、そこから車で郊外へ。自然に囲まれた広大な乾燥地帯。透き通った空気にまさに絵に描いたようなスカイブルーの空。
 養豚場にたどり着くと、入場前にまず、現地の安全管理対策担当者による留意事項の説明があった。年配の彼は、柔らかい口調で淡々と話す。
 「ここではウイルス侵入防御、すなわち外からの出入りに非常に気を使っています。でないと全てが破滅します」。そして鋭いまなざしで続けた。「君たちにお聞きするが、感染を拡大する1番危険な運び屋の生き物はなんだと思いますか?」
 その質問にわれわれ誰もが顔を見合わせ、爬虫類、鳥類、節足動物(昆虫類、クモ類、多足類)などを想像した。すると彼は、ニヤリとして「無理もない。誰もがそう考えます」と前置きした後に、「正解は……人間です」だった。驚きを隠せない表情のまま、われわれは入口の門へと導かれた。
 二重の医療白衣に着替え、頭から髪を隠すようにヘアキャップを被り、マスクやアイグラス、手袋はもちろん、長靴に履き替え、カメラ機材の表面もクリーニングし、医療用カバーを被せ、入念に何度もスプレーなどで消毒して中に入った。
 1週間に及ぶ撮影は無事終了した。最終日には手慣れたもので、自ら率先してウイルス防止の万遍ない消毒を心掛けた。
 今日のパンデミックの真っただ中、ウイルスの感染源は人間だという彼の留意事項を今でも鮮明に覚えている。要するに、人間が動き回り接触する限り、ウイルスは拡散し続けるということだ。国民全体のみならず、ホワイトハウス関係者にしっかり伝えたい。【長土居政史】

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