フロイドさんが死亡した状態と同じ地面にうつぶせになって抗議する参加者
 5月31日の午後にトーレンス市民センターで行われた「ブラック・ライブス・マター」をスローガンとする平和的な抗議大会には100人以上が参加した。アジア系米国人を含む多民族と多世代が集まり、市庁舎の前から、トーレンス大通りとマドロナ街の角に移動して、参加者は芝生に横たわった。ジョージ・フロイドさんに敬意を表して、「息ができない」と唱えた。

 アフリカ系米国人のフロイドさんは7日前に、ミネアポリスで警察に拘束されて亡くなった。話題になったビデオで、フロイドさんは地面にうつぶせにされ、一人の警官の膝が首に押し付けられていた。
 フロイドさんが「息ができない」と命を懸けて訴えるのを、他の3人の警官は傍観しているだけだった。フロイドさんの死は全米で暴力的な抗議活動を引き起こした。
 抗議活動は、近年に警察の手で殺害された他の非武装のアフリカ系米国人たちのことも思い出させた。プラカードの一つには「彼らの名前を挙げよう」と記されていた。

フロイドさんのポートレイトや黒人の命の重要性を訴えたプラカードを掲げ平和的に行進するプトテスト
 他のプラカードには、「法を超える者はいない」「沈黙することは共犯であること」「人々の力は権力者よりも強い」「今回は沈黙を拒否する」「警察の残虐行為を終わらせよう」「ジョージ・フロイドに正義を」「どこかでの不正義はすべての正義への脅威」「私たちは平和と愛と正義を必要とする」「悪い警官に責任を負わせることによって人々を保護し、人々に奉仕するのが良い警官だ」…などのメッセージが書かれていた。
 多くの抗議者が子供を連れてきていた。その子供たちもプラカードを掲げていた。通過する車の多い交差点で、この光景を見たドライバーの多くが、クラクションを鳴らして加勢した。
 この抗議活動には警備に当たるパトカーも制服姿の警官も見当たらなかった。
 トーレンス警察のイブ・バーグ署長は、フロイドさんの死によって「当署は混乱し、悲しんだ」との声明を発表した。また、抗議の集会と活動の権利を支持する一方で、「暴動、略奪、他者への暴行、財産の破壊などの違法行為は容認しない」と述べた。
 同日、トーレンス市は午後6時から翌午前6時までの夜間外出禁止を発令し、多くのスーパーマーケットやその他の企業が早い時間に閉店するよう促した。
 トーレンスの地元紙「ザ・デイリー・ブリーズ」によると、トーレンスでは2019年12月に、盗難に遭ったと思われた車を運転していた黒人のクリストファー・デアンドレ・ミッチェルさんが警官に射殺されるという事件があった。そのため、トーレンス自体が「ブラック・ライブス・マター」運動のの抗議の対象になっているという。ロサンゼルス郡地方検察庁はこの事件を、「警官はミッチェルさんが武装していると信じて、命令に従わなかったために自衛した」と結論付けた。【JKヤマモト、訳=長井智子】
思い思いのプラカードを掲げフロイドさんを追悼するプロテスト

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