ハンドサニタイザー寄付:3市に計3万本、コロナ感染予防

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YSメディアエージェンシー

ロングビーチ市へハンドサニタイザーの寄贈式。左からジェトロ瀧所長、四日市姉妹都市交流協会の河井沙也さん、ボーン会長、関社長、市役員3人

 トーレンス市の日本企業「YSメディアエージェンシー」が、新型コロナウイルス感染拡大の防止策で必要とされているハンドサニタイザー(手指消毒剤)を製造し各地に寄付する壮大なプロジェクトを行っている。25日にはロングビーチ市に、翌26日はグレンデール市に、30日はロサンゼルス市にそれぞれ1万本を寄贈した。

 ロングビーチ市への寄付は、同市と姉妹都市提携を結ぶ四日市姉妹都市交流協会会長のマイク・ボーンさんの橋渡しで実現した。サニタイザーの運搬を無償で引き受けた日通のトラックが同市のドネーション倉庫に到着すると、ロングビーチの市長教育基金への贈呈式が行われた。ハンドサニタイザーを受け取ったエグゼクティブ・ディレクターのカリッサ・セルべスターさんが謝辞を述べ、感謝状を手渡した。セルべスターさんは一行をドネーション倉庫に案内し、「同市が無料の日常物資を必要な人々に渡していることを聞きつけて毎日、遠くからも受け取りに来る人の列が絶えない」と同市の取り組みを説明し、寄付されたハンドサニタイザーが活用されることを約束した。ロングビーチ市は日本との交流に非常に熱心な市でである。

ロングビーチ市のカリッサ・セルべスターさん(右)から感謝状を手交された関社長

 贈呈企業のYS(ワイエス)・メディア・エージェンシーのビジネスはユニークだ。「ロサンゼルス生まれの日系ハーフ、16歳のリン・アソビちゃん」というバーチャル・キャラクターを運営している。週に3回、リンちゃんを主人公にした英語のエンターテーンメント番組をYouTubeにアップしている。そのフォロワー(登録視聴者)の数は7万3千人。大半が米国、ついでフィリピンやイギリス、インド、カナダなど英語圏の国で、15〜24歳が47%を占める。試しにYouTubeでRin Asobiと検索してみると、小東京にあるアニメショップの店頭でバーチャル・アイドルのリンちゃんがお客さんとリアルタイムの会話をする様子や、「技術はここまで来たか」とおどろく人々の様子を見ることができる。
 ハンドサニタイザーの寄付は、実世界の人間よりも素直で行動力に溢れるパーソナリティーのリンちゃんが「オペレーション・トモダチ」というプロジェクトを通じて実行していることになっている。製品のボトルにもリンちゃんのイラストが描かれている。
 YSメディアの関雄貴社長は、「今、人種の暴動が起こっているが、2月に新型コロナが始まった時、ひょっとすると内戦や戦争のようなことにまで発展するかもしれないと危惧していた。微々たる力でも自分たちも何かをしたいと思いたった。僕たちはバーチャル・キャラクターを運営しているのでコロナ終息までの行動のシンボルとして、人種や宗教にとらわれたり、人を蔑んだりしない『バーチャル・キャラクター』を先頭に立たせた」と話す。コロナの終息後の世界が、人が互いに助け合いながら歩む、新たな価値観の平和な世界となるように願う。その牽引が、何百年も続いた歪んだ社会構造や政治の争いなどものともしない、まっすぐな心に託されている。

アガハニアン市長(左から2人目)から感謝状を贈られる関社長(右隣)

 関社長は「サニタイザーだけでなく、食料や、教育関係も含めて有形・無形の社会貢献をするファンドに発展させていきたい」と話す。パンデミックで必要とされる物資を製造販売し、収益を寄付にまわすことで、1度の寄付で終わることなく原資を増幅させ、継続的な物資支援と新規雇用の創出を目指している。
 日本の47都道府県に47万枚、ハワイに18万枚のマスクを寄付。そしてこのたびのLAでのハンドサニタイザーの寄付となった。
 ロングビーチ市の翌日はグレンデール市で、武藤顕総領事とアガハニアン市長も出席して1万本の贈呈式が行われた。市長よりハンドサニタイザーの寄贈に謝意が示され、総領事、YSメディア、ジェトロと日通USAに対する感謝状が手交された。同市は1万本のうち5千本を市内の医療施設に届け、5千本を同市のビジネス関係者に配置するという。
 武藤総領事は「両者力を合わせて、このコロナ感染に立ち向かい、より良好な関係を築いていきたい。今回はその印として、ハンドサニタイザーを寄贈させていただくので、お役に立てれば幸いだ」と述べた。
 ジェトロ・ロサンゼルスの瀧統(おさむ)所長は今回の取り組みを「新型コロナに悩む各市に対し、総領事館とジェトロが橋渡しとなり、純粋な善意からの日本企業の取り組みのひとつを同市に紹介した」と説明する。配送は日通ロサンゼルスが無償で業務を提供した。
 これまでにロングビーチ市、グレンデール市、ロサンゼルス市へ各1万本の寄付が行われた。またJBA(南加日系企業協会)の教育部会を通じて現地校20校へ合計1万本の寄付もまとまっている。次はハワイに1万本を届ける計画が進んでいる。関社長の計画はこれにとどまらず、全米50州規模に寄付を拡大し、いずれは各州に少なくとも1万本ずつを寄付したいと希望している。夢の実現には日系諸団体の橋渡し支援が鍵となるだろう。
 現在、YSメディアのみならず、さまざまな日本企業が幅広く種々の支援活動を行っている。先日、武藤総領事とジェトロの佐伯徳彦次長が出演した日米協会主催のウェビナーでも日本企業の貢献の内容が多く紹介され、武藤総領事は「これから支援先の紹介が必要な企業は総領事館が手伝うので連絡してほしい」と画面から頼もしい呼び掛けを行った。30日のロサンゼルス市の贈呈式ではトヨタ社からのフェイスシールド千枚の贈呈もあった。
 これからも大小問わず、多くの善意が発揮され、多くの支援の手が差し伸べられていくだろう。日本企業と日系諸団体の活動に誇りを感じるのは記者だけではないだろう。【長井智子】

】グレンデール市での贈呈式。左からナハリアン議員、武藤総領事、関社長、アガハニアン市長、ダン・ブロトマン議員、日通の村田氏、JETROの瀧所長

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