LAFD隊員に弁当300個:小東京から感謝を込めて

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地元日系の企業と団体が協力

LAFDの隊員に弁当を贈った前列左端から元LAFD副本部長のデイブ・ヤマハタさん、ブライアン・キトウさん、ジェイソン・リーさん、MTCの金井敦子副社長

 新型コロナウイルスのパンデミックの中、緊急事態に第一線で活動し小東京のビジネスと住民、訪問者を守るLAFD(ロサンゼルス消防局)の隊員に感謝の気持ちを伝えようと、地元日系の企業と団体が協力し、昼食用の和食弁当計300個を1日からの3日間、配った。

弁当の盛り付けを行う酒道場のオーナーのドン・タハラさん(左)とブライアン・キトウさん

 このプロジェクトは、小東京に本社を置く日本食卸売業「MTC(Mutual Trading Company、大畑正敏社長)」が発案し、パンデミックで打撃を受けた小東京の飲食店を支援する目的で始まった。JRA(米国日系レストラン協会、増田堅太郎会長)と小東京防犯協会(ブライアン・キトウ会長)の協力を得て3者共催とし、賛同した「ヒロ・フィッシュ・カンパニー」からは、焼き魚用のタイが提供された。
 弁当の提供先をLAFDに決めた理由は、5月16日夜に小東京に隣接する倉庫から火災が発生した際に消火活動を行い、被害が小東京に広がるのを防いだためである。数回の爆発が起きる危険の中で、約200人の消防士が炎に立ち向かい、11人が負傷、うち2人が入院した。英雄に対し、小東京コミュニティーからは「命を懸けて、リトル東京を守ってくれた」と称賛の声が上がった。
 キトウさんは、日系人DJと日本で活動するDJのネットワーク「HASHI (橋) CO」のメンバー、ジェイソン・リーさんに協力を求めた。快諾したリーさんは、日米からアーティスト13人が参加した資金集めのバーチャルコンサートを5月31日に開催し、2千ドル以上を集める成果を上げ、プロジェクトは大きく前進した。

きれいに盛り付けられ消防士に振る舞われた弁当

 リーさんの協力は、小東京への恩返しの気持ちが込められている。曾祖父と曽祖母が日系人の孤児院「小児園」(1914〜63年)をシルバーレイクで経営し、小東京の地域の人々から食料など多大な寄付が贈られていたという。「私の祖先を助けてくれたその同じコミュニティーに恩返しをすることができたのは、超現実的という思いだ。寄付した皆さんとストリーム番組に参加した皆さん、そして演奏してくれたアーティストに心の底から感謝している」と語った。
 リーさんはまた、前出の火災事故で活動に当たった消防士を支援する活動を考えていたことから、同プロジェクトへの協力を快く引き受けたという。
 プロジェクトは小東京にフォーカスを当て、弁当の提供は居酒屋「ゑびす」「大政」「鮨元」「TOT(定食屋オブ東京)」「酒道場」の5店が行い、酒道場でボランティアスタッフが箱詰めを手伝った。カリフォルニアロールがメニューに採用されたのは、1960年代に小東京で開発されたからで、プロジェクトに花を添えた。
 弁当は小東京を受け持つ三つの消防署と西本願寺近くのディスパッチセンターの計4カ所に贈られた。小東京防犯協会のオフィスである交番前には、はしご車や救急車がピックアップにやってきた。日系社会が期待を寄せ

プロジェクトを共催した(左から))小東京防犯協会会長のブライアン・キトウさん、米国日系レストラン協会会長の増田堅太郎さん、MTCの金井敦子副社長と、酒道場のオーナーのドン・タハラさん、元LAFD副本部長のデイブ・ヤマハタさん

るゲイル・ソノダ署長も姿を見せ、感謝の言葉を述べた。消防署員の多くが同僚と昼時にしばしば小東京に日本食を食べに来て、また非番の日は家族と小東京で食事を楽しんでいると言い、関係者を喜ばせた。弁当を手にした隊員らは大喜び。小東京のコミュニティーとLAFDの距離がぐっと近づいたプロジェクトは成功を収めた。
 MTCの金井敦子副社長は、活気があった小東京がパンデミック後に見違えるような閑散とした姿を目にし「ほとんどの店が閉まっていて寂しい」と嘆く。「ほとんどの小東京のレストランは個人経営なので今の状況は厳しいが、テイクアウトで頑張っている」と期待を寄せる。プロジェクトについては「店の人の気分が少しでも晴れればと思って始めた。消防士に弁当を配り、リトル東京もコミュニティーが団結できたのがよかった」と述べた。
 JRA会長の増田さんは「リトル東京を守ってくれている消防士に喜んでもらいとても印象的だった。スタッフも久しぶりにカリフォルニアロールがたくさん巻けてうれしそうで、本当にいいプログラムだと実感した」と述べ

LAFDのグラシアーノ隊員(左)に弁当を贈る米国日系レストラン協会会長でTOT(定食屋オブ東京)オーナーの増田堅太郎さん

 た。MTCとのコラボレーションによる今回のようなコミュニティーを巻き込んだプログラムの継続に意欲を示し、いずれはJRAの会員以外の店にも手を差し伸べる考えを示した。先週には加州の指令で店内の飲食が再び制限され、料理は持ち帰りと宅配になり、向こう3週間継続されるが「こんな時期だからこそ皆で力を合わせて頑張りたい」と気持ちを新たにした。
 小東京防犯協会会長のキトウさんは、小東京で約120年続く和菓子店「風月堂」のオーナー。経営は何とか持ちこたえているというが、他の小東京の店舗、特にレストランは厳しい状況が続いているとし「リトル東京は競争の激しいビジネス地区で、ただでさえ生き残りを懸けた挑戦があるのに、コロナで本当に苦しくなった。自分の店も大変だけど、他の近所のビジネスが困っているのを見ていられなくなった」と語り、プログラムを実行したという。今後のプログラムの展開について、メトロの地下鉄工事で封鎖されている1街(サンペドロとセントラル)を利用し、テーブルと椅子を置き、屋外飲食ができるスペース設置を目指し、飲食店を支援する考えを示した。

はしご車(後方)で弁当を受け取りに来たゲイル・ソノダ署長(右から2人目)と、弁当を提供したMTCの金井敦子副社長(左隣)。左端が増田堅太郎さん

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