十年一昔

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 十年一昔というが、10年を一くくりにして、人も社会も変化を遂げる。来年で世界同時多発テロから20年、東日本大震災から10年を数えるが、これらの歴史的事件がもたらした影響は計り知れない。今年の一大事件となった新型コロナウイルスは、今後10年以上に渡り、人の考え方や社会のシステムを変えていく。
 変化は決して悪いことではない。特に成長するための変化は人間として必須と言えるだろう。故に、人と対話し、書物を読み、創作品を鑑賞する欲望が絶えないわけだが、コロナ禍中、対人が難しいので、この半年はインターネットで知らない世界を発見することで自分の知識や教養を高めている。
 ある日、情報収集のための日課であるソーシャルメディアを閲覧していたら、10年前に一緒に仕事をした音楽エンジニアの情報がフィードに現れた。近況を知るべく彼の名前をクリックしたところ、音楽三昧の彼の近況が知れるものと思いきや、そこには彼が調理したであろう料理が盛られた皿を持つ、シェフ姿の写真が飛び込んできた。自分の目を疑うと同時に一体何が起こったのか、まるで浦島太郎になった気分だ。人はここまで変わるものか、はたまた、もともとシェフを目指していた彼は片手間にエンジニア業を営んでいたのか。それは知る由もないが、写真の彼を見る限り、人生の勝ち組の一人になったことは間違いはない。
 自分自身の過去を振り返ってみると、確かに10年のサイクルで大きな転換が起こっている。10代で人生の羅針盤となる音楽と出会い、20代で結婚と渡米、30代で親となり、起業した。なるほど、十年一昔とはうまく言ったものだ。
 だが、最近の世の中の動きを見ていると、一年一昔と言えるぐらい、変化が激しい。テクノロジーの進化、ソーシャルメディアの普及ぶりは驚異的で、情報の洪水の中、ネットに溺れ仮想空間に心のよりどころを求める人も少なくないはずだ。ネット依存の問題は仮想現実には時間軸が存在しないことだ。知らない間に時間が消えていく。もしかすると、われわれの敵は新型コロナウイルスではなく、インターネットの支配なのではないか。【河野 洋】

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