困った時の「神」頼み

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 大きい台風がいま日本の南から北上して九州を縦断しようとしている。今回は何人の人が犠牲になるんだろうか。どれくらいの規模で川が氾濫したり、土砂崩れが起きたり、家が流されたり倒壊したりするんだろうか。
 この台風10号(英語名ハイシェン)は猛烈に発達しながら接近している。ここ数十年で最大かつ最強の台風のひとつになる可能性がある。気象庁は何日も前から会見を開いて、きちんと備えをするよう呼び掛けている。こんな対応は過去にほとんど例がない。コロナ禍でもあり、避難には感染防止対策も必要になる。
 風水害は地震と違って、いつ頃どれくらいの被害が出そうか想定できる。今回の最大級の注意喚起を聞いていると、適当な言葉ではないかもしれないけれど、余命宣告に近いものを感じる。一人一人にはそういう意識はないと思うし、少なからず「自分は大丈夫」だと思っているだろう。災害はなかなか自分のこととしては考えにくいものだ。
 昔、中国人のクラスメートにこんなことを聞かれたことがある。東日本大震災が起きた後のことだった。「どうして日本人は自然災害が起きるたびに多くの人が亡くなるのに大丈夫でいられるのか」
 私はこんな風に答えたと思う。「日本人は昔から自然災害と隣り合わせで生きてきたから慣れている」と。日本にはヤオヨロズの神、自然がもたらす万物に神様が宿っているという信仰がある。困った時は自然の神に助けを乞い、怒らせないように生活してきた。地震や噴火、水害は神の怒りなのだと考えられてきた。だから自然には逆らうことができないという心理がもともと日本人に備わっている。こんなことも話した。
 最近は台風だけでなく、局地的なゲリラ豪雨が頻発して、あちこちで浸水や川の氾濫が発生している。これには地球温暖化の影響が指摘されている。現代版「自然の神の怒り」なのかもしれない。
 今回の台風、各地に甚大な被害をもたらすのか、それとも事前の呼び掛けや行動が功を奏して被害を最小限に食い止められるのか。ぜひ後者であってほしいと、神に願うばかりだ。【中西奈緒】

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