新型コロナ感染者の一例

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暑さ寒さも彼岸までと言う。やっと猛暑も落ち着いたが、新型コロナはまだまだ。
 この時期、私の知人が身まかった。日本人がたった一人というナーシングホームの居住者だった。今なぜこんなことを書いたかというと、新型コロナ感染拡大で外出自粛になってから、知り合いが施設や病院に入ったら今生の別れになると本気で心配していたからだ。
 「3月13日から施設訪問ができなくなる」と前日に知らせを受けて、その日のうちに会いに行った。しばらく会いに来られないからと日本物のせんべいなどを差し入れてきた。高血圧症や糖尿病もあるが、日本食が出せないからと差し入れは認めてくれていた。6月には、日本の年金を受給していたので現況届のために公証人と施設を訪れた。ソーシャルワーカーがアレンジしてくれて、ロビーで会った。あまり食欲がないと、少しやつれていた。持参したせんべいをスタッフが渡すと、むさぼった。
 7月初め、新型コロナに感染したと連絡があった。入院するのかと聞いたら、施設で様子をみるということだった。その後、何度か電話で様子を尋ねるも「wonderful!」と、発熱などの症状はなく良好との返答。3週間後に、陰性で全てクリアになったから、前からいる部屋に戻ったと連絡を受けた。安心したのもつかの間の2日後に、前から腎臓とぼうこうに問題があったが、それが悪化して入院だと言われた。入院先から病状の報告があり人工透析が必要だと言われたが、その後、透析はできない、ホスピスケアしかないと施設に戻った。会いに行きたいとホスピスケア事業所と施設のソーシャルワーカーに申し入れていた。日程を調整して連絡するというので待っていたが、会えるという日の朝、他界した。ホスピスケアになって16日目、81歳だった。
 新型コロナは持病がある高齢者は特に危険性があると言われていたが、彼の場合はホスピスケアになるほど重症な病気があったにもかかわらず、コロナの症状は出なかった。全く面会がかなわないと思われたが、必ずしもそうではなかった。電話のつながりには時間を要し、時々あきらめることもあったが、要望を伝えることが肝要だと思った。【大石克子】

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