日本人と日系人の芸能活動を支援:「日本」をキーワードに展開

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ニューヨークのNPO「クーパ」


昨年4月のシンポジウムで和気あいあいの参加者。前列左から登壇者のゴスペル音楽プロデューサー打木希謡子さん、俳優のヨシ天尾さん、コメディアンの岩佐麻里子さん

 2018年9月にニューヨークで始動した「クーパ(CUPA=Catch Us Performing Arts、本木祐子代表)」は、日本人と日系人アーティストの支援を目的とするNPO法人だ。その活動を紹介する。

 歌手、ミュージシャン、ダンサー、俳優とジャンルは違っても、アメリカンドリームを追う日本人アーティストが米国で活動をしようとする時、彼らが通らねばならない道はおしなべて同じである。査証を取得し、キャリアを積み、プロとして生計を立てるまで、計り知れない努力、忍耐と時間を費やす。そして、志半ばで母国へ戻る者たちも後を絶たない。クーパは「日本」をキーワードに、芸能分野の若手育成と、文化・芸術・エンターテインメントによる日米交流を通して、より良い社会作りを目指している。
 昨年は、Jポップのシンガーソングライターやコンテンポラリー・ダンサー、箏奏者、書道パフォーマーを集めたショーケース、アーティストとプロデューサーを集めたシンポジウム、身体障害者支援団体への寄付を目的としたジャズコンサート、着物ショップの一画を利用した友禅和紙アート展、書道展、さらには英語の作詞ワークショップまでと、幅広い活動をした。今年は年頭のGALAコンサートで日米の声楽家と台湾のピアニストが集まり、国際色も深まって日本人以外にもアピールした。だが、こうしてまさに軌道に乗り始めた時に、新型コロナウイルスで全てのイベントが延期・中止となり、アーティストたちの活動が麻痺してしまった。その状況は今も続いている。

日本人アーティストの強い味方マイケル・ダン弁護士。VISAセミナーの講師に招かれ、流ちょうな日本語で解説した

 クーパ自体も活動を一時停止せざるを得なくなったが、パンデミックの最中に三密回避を守りつつできることは何かを考え、オンラインにプラットフォームを切り替えた。7月に開講した「アーティストのための英語発音矯正コース」は日本人特有の訛りをなくすテクニックを伝える講座で、同団体代表の本木さんが講師を務めた。ネイティブスピーカーのバイリンガルで、ニュージャージーの日本文化拠点であるジャパンセンターNJのライフ・アドバイザーとして活躍する本木さんは、「米国で活動する日本人アーティストにとって、英語は必要不可欠のツール。正しく発音することで、相手との意思疎通がより円滑になり、自己アピールがより効果的になる。また、自己表現をより自然に行えるようになる。ネイティブのように話すためには口輪筋の使い方、舌の位置、顎の動かし方を学び、体で覚えることが最速の方法。その発音構造、口の周りの筋肉の動かし方を徹底的に教えた」と説明する。好評を博した同講座は10月に秋季コースを開講する。
 8月にはオンラインセミナー第2弾として、移民弁護士を招きアーティスト査証に焦点を当てた「アーティストのためのVISAセミナー」を無料で実施した。ニューヨークに事務所を構えるマイケル・ダン弁護士は、よどみない日本語でアーティストのためのビザの種類や取得条件などを解説した。45人の参加者が各地からログインした。ウェビナーを終えて、クーパの平川美代子理事は「コロナ禍で、われわれに何ができるかを考えた時に、ビザはアーティストが今もっとも必要としている情報のひとつと思われた。ウェビナー上で、専門家から移民ビザの申請状況などをリアルタイムで伝えることができた。参加者の生の声を取り上げた質疑応答も行い、有意義なセミナーになった」と述べた。質問者からは、「コロナで公演の仕事がなくなってしまったがビザを継続するにはどうしたら良いか」といった切実な状況が伝わってきた。

マンハッタンのミッドタウンにあるスカンジナビアハウスで、団体発足1周年を記念したガラコンサート。大雪の中、100人ほどが来場し盛況だった(大野早苗さん撮影)

 これからの活動としては、ズームを利用した演芸シリーズを月1回、無料でストリーミング配信する。長年米国に居住し日本を懐かしく感じる人々に、落語,浪曲,手品、紙芝居、音楽、映画など日本の大衆芸能をオンラインで楽しんでもらおうと企画している。「全米シニアのためのオンライン日本演芸シリーズ」と題し、配信を10月25日、11月17日、12月17日に実施する予定。毎回、米国東部や日本のパフォーマーが登場する。パンデミックで家族とも面会できず自粛生活で寂しい思いをしているシニアや、介護を受けている人、老人施設でも何かできることがあるはずと考え、全米各地の日系団体やシニア施設、ケアギバーをしている人々にも、視聴の案内や協力を呼び掛けたいとしている。
 「米国で道を切り開いてきてくださった日本人の先輩たちに恩返ししたいという気持ちが常々あった。年配の方々の心安らぐひと時を若いアーティストたちの力で作っていけたら、それは福祉活動にもつながり、コミュニティー作りへの貢献にもなると思う。パフォーミングアートを推奨するクーパが、そんな役割を担っていけたら嬉しい」と、副代表の河野洋さん。「パンデミックという逆境でもポジティブな流れを作り出すことは可能だと信じている」と、オンラインライブへの抱負を語った。
 育成、支援にとどまらず、パフォーマンス・アーティストに焦点を置いた広範囲かつユニークな活動を提供するクーパは、団体創設代表をライフアドバイザーの本木祐子さん、副代表にイベントプロデューサーの河野洋さん(Mar Creation, Inc.社長)、書記はダンス・スクール主宰の平川美代子さん(TMH Dance, LLC.代表)が務めている。今後の活動予定はソーシャルメディア、公式ウェブサイトなどで確認できる。
 Website: http://catchus.org
 Phone:(201) 942-0555
 Email: [email protected]
 FaceBook: CatchUS.org
 Instagram: catchus_org
 Twitter: CatchUS_org
 Pinterest: catchus_
 YouTube: channel/UCVprX_JFVMFCSoHbI7oJLRg

ガラコンサート出演者とクーパの理事。前列右から本木代表、芸術監督の大日琳太郎さん。後列右からバリトンの大山大輔さん、ソプラノのキャロライン・ミラーさん、ピアノのピンアン・リンさん、平川書記と河野副代表(大野早苗さん撮影)

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