自粛のトンネル

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 新型コロナウイルスの出現で世界は様変わりした。このウイルスは飛沫感染のため、手洗いの励行とマスク着用が必須とされ、お互いにソーシャル・ディスタンスを取り、大声や密閉・密集・密接の3密を避けることが大切とされた。政府や自治体は緊急事態として、不要不急の外出自粛を要請した。人と人の接触を避けるオンラインが奨励され、職場も学校も生活の場でもオンライン化が普及し始めた。人の移動や接触が断たれれば経済活動は沈滞する。かといって規制を緩めれば感染拡大が再燃する。世界の各国が感染抑制と経済活動再開の狭間で苦しんでいる。
 重症化しやすい高齢者は友人や親族との行き来もままならず、近所の散歩や買い物が唯一の外出となった。その結果運動量が減り、めっきり筋肉が退化した人が多い。感染初期は無症状でも感染力があるのがこのコロナの特徴で、感染は怖いし自覚のないまま会って相手に感染させたら申し訳ないとの思いから、人と人との交流は激減した。
 人は他人と共感し合えることが一番うれしい。感動を分かち合い、自分の考えや行動を評価されて褒められることで生きるエネルギーが湧いてくる。その機会は、人と人が出会い意思を通わせることで生まれてくる。共感を分かち合うために昔から音楽や歌や彫刻・絵画が育ち文化となった。自粛期間中はその機会が断たれたのである。
 人が行動を起こすには動機がいる。心に何も生じなければ行動は起こせない。その動機は人と人が接触することで得られる。自粛中、自分は何のために生きているのか、何のために生まれたのかと自問した人も多いだろう。早くお互いに夢を披露し合い、励まし合える生活に戻りたい。
 週に一度、10人前後のシニアで集まってグランドゴルフをする。除菌オシボリ・マスク使用でプレーを楽しむ。わずか1時間半ほどのこの集まりが、今はかけがえのない楽しみになっている。お互いに顔を合わせ、声を掛け合うのがうれしい。明けない夜はない。明日という希望がある限り人は生きていける。一日も早く自粛のトンネルを抜け、晴れて堂々と行き来ができる日が来るのを待とう。【若尾龍彦】

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