コロナ禍で家庭内暴力深刻に:レインボー・サービス

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DV被害者を支援する非営利団体①

レインボー・サービスの玄関口では希望を予感させる壁画が相談者を迎える

 今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、家庭内暴力(DV)の被害者の女性や子ども、男性が家庭内でさらに孤立している。家庭はフラストレーションや抑うつ、不安、さらには経済的問題を抱えているためDVがエスカレートしているのだ。このような状況を受け、バイリンガルスタッフによる幅広いサービスを提供する「レインボー・サービス」と「リトル東京サービスセンター(LTSC)」の非営利の支援団体の活動をシリーズで紹介する。 【キャシー・ヤマモト、訳=砂岡泉】

 助けを求めるでもいい。情報を共有するでもいい。たった一つの小さな行動を始めることが、家庭内暴力を終わらせることにつながる。10月の「ドメスティック・バイオレンス啓発月間」は、全米がこのことを再確認した期間だった。また、国際的にも11月12日から日本で行われた女性に対する暴力をなくす運動」や、国連が定めた11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」などで、DV被害者への支援が啓発されている。
 虐待を受けている人たちは、日々の行動が制限されているコロナ禍において、虐待を行う人と一緒に自宅などに閉じ込められており、不安定な状況は悪化している。子どもの場合は、通常であれば、教師が虐待の兆候を察し、しかるべき所に通報しているかもしれないが、学校が休みで授業がオンラインで行われていると、直接会うことができないのでそれも難しい。

レインボー・サービス、総合的に支援
「被害者に向き合うサービス」

 サンペドロのとあるオフィス。片方の腕で子どもを抱きかかえ、もう片方の腕を伸ばす人魚の姿が描かれた明るくカラフルな壁画が目を引く。
 ここは、虐待を受けた男女、子どもたちを総合的に支援する非営利団体「レインボー・サービス」。看板はないが、中に一歩足を踏み入れると、24時間対応のホットライン、緊急シェルター、仮住まい、コミュニティー住宅プログラム、個人または家族向けのカウンセリング、サポートグループ、子ども向けプログラム、法的支援などのサービスを提供していることが分かる。
 1983年の設立以来、レインボー・サービスは成長・拡大してきたが、新型コロナウイルスの影響でニーズはさらに高まっている。
 同団体でオペレーション担当マネジャーを務めるマーシ・フクロダさんによると、パンデミックが始まってから、ホットラインへの電話は2倍、時には3倍に増えている。
 20年以上にわたり「カリフォルニア女性法律センター」で、女性への暴力に対するプログラムを担当した経歴を持つ弁護士のフクロダさんは、家庭内暴力に対する知識や経験も豊富だ。「私が家庭内暴力や性的暴行などの問題に対して、被害者たちの権利という観点から関わるようになったのは、前職の影響ね。だからレインボー・サービスでも、被害者に向き合う直接的なサービスを提供することができるようになったの」
 フクロダさんは、接見禁止命令や離婚手続き、家主や移民に関する問題を支援する法律サービスのディレクターを務めた経験もあるという。

経験豊富な弁護士のフクロダさん

 これまで同団体は10月の「ドメスティック・バイオレンス啓発月間」にオープンハウスを開催してきたが、今年はバーチャルツアーを行い、プログラムやサービスの説明に加え、37年間にわたり地域に貢献してきた思いを伝えた。
 団体のウェブサイトによると、女性の4人に1人、男性の7人に1人が身体的暴力を受けており、毎年15人に1人の子どもが、近親者からの暴力にさらされている。そして、全米のドメスティック・バイオレンス・ホットラインには、通常1日当たり2万件以上の電話がかかってくるという。
 また、同サイトでは、虐待関係の中でよく見られるパワーとコントロールの力学についても説明があり、虐待を行う者が、パートナーを支配し、その関係を維持するために行うむごい扱いや暴力的な行動の総体的なパターンを理解するのに役立つ内容が明記されている。
 さらに、肉体的な暴力に加えて、感情的な虐待や強要、経済的虐待(仕事探しや、仕事を続けることを妨げる)、子どもを利用する(子どもから引き離すと脅す)、そして、否定、見下す、非難(被害者のせいである、自業自得であるなどと言う)についても書かれている。
 また、レインボー・サービスを利用する人々の多くは、スペイン語を話すため、ホットラインを含め、サービスは英語とスペイン語のバイリンガルで提供されているという。
 フクロダさんは、ヒスパニック系とアジア系の米国人のコミュニティーには、共通した文化的な問題があると話す。「特に、コロナ禍では人々が孤立しているため、文化を超えて同じ問題に直面している。被害者の多くは、周囲への家族の評判を気にして、ネガティブなことは表に出さないような家庭環境で育ってきている」。さらに、「言葉の壁が孤立感を深め、助けを求めることを困難にしている」と補足した。
 時に不穏な状況下に置かれることがあっても、自分の仕事にはやりがいがあると話すフクロダさん。「よくそんな仕事が続けられるね。大変だろう」と言われることがあるという。「でも、実際にはそうでもないの。私は、相手に共感しながら話を聞くだけでなく、客観的に捉えサポートすることができるから。私たちのサービスは、何かしら助けを求めている人たちの役に立っていると思う」
 被害者にとって一番難しいのは、助けを求めて一歩を踏み出すことだとフクロダさんは続ける。「一歩踏み出してしまえば、人は、それが自分の人生にポジティブな変化をもたらすことに気づく。彼らが、想像もできないような社会的なサポートネットワークもある。それで救われた人はたくさんいる。それがこの仕事の素晴らしいところだと思う」
 さまざまな被害者支援団体の連絡先は以下のとおり。また各団体は活動資金のファンドレイズを常に求めている。
 ※レインボー・サービス 〜Everyone Deserves Respect, Love and Safety〜
 24時間ホットライン310・547・9349。
 ウェブサイトー
 http://rainbowservicesdv.org/
 レインボー・サービスへの寄付については、ウェブサイトに記載。物品の寄付は、電話310・548・5450まで問い合わせを。特に、乳児、幼児、子ども、ティーンエイジャー、女性のための新品・未使用の衣類や消耗品、家庭用品、食料品などを受け付けている。
 ※リトル東京サービスセンター
 電話213・473・3035、午前9時〜午後5時。問い合わせはソーシャル・サービスのスタッフまで。
 ウェブサイトー
 https://www.ltsc.org/assisting-people-need/
ドメスティック・バイオレンス・プログラムへの寄付は、デペロップメント・ディレクターのシャロン・カメガイ—コシータさんまで。電話213・473・3030。
 ※センター・フォー・ザ・パシフィック・アジアン・ファミリー
 ドメスティック・バイオレンス・ホットライン800・339・3940。
 日本語およびその他のアジア言語での電話応対が可能。

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