パンデミック収束へ期待:医療従事者に次ぎ高齢者も

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ワクチン接種

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1回目のワクチン接種を受けたアラン・クマモトさん(左)とハンナ・コマイさん

 
 モデルナ社ワクチンの初回接種を受けたアラン・クマモトさん— くしくもこれが81歳の誕生祝いとなった。クマモトさんと妻のジョー・アンさんは、先週オンラインからエル・セレーノ・レクリエーション・センターでの新型コロナウイルスのワクチン接種に申し込むことができたという。当日は、ワクチン接種のために50人ほどが並んでいたが、手続きもスムーズで注射の痛みもなくあっという間に終了。その後、少し腕がひりひりしたが、それ以外はいたって元気だそうだ。「ワクチンを接種できたことは喜ばしいことだがこれで終わりじゃない。2月18日に2回目の接種を受けるまでは完了とは言えないね」とクマモトさんは話す。

 カリフォルニア州公衆衛生局のエリカ・パン博士は、ワクチンは「トンネルの先にある光」であるとしながらも、人々に警戒を怠らず安全のための手順に従うように提言。「私たちは、公正かつ公平な配分を考慮しながら、ワクチン接種を迅速に行うため24時間体制で取り組んでいる」と話している。
 ロサンゼルス郡で新型コロナウイルスの最初の症例が報告されてから1年が経つ。現在カリフォルニア州は、パンデミック収束に向け、ワクチンの安全性と必要性についてアジア系米国人コミュニティー内での教育と支援に力を注いでいる。コリアタウン・ユース・アンド・コミュニティー・センターのスティーブ・カン氏は、先日開催されたZoom会議で、ワクチンに対する誤った情報や不信感の拡大が、アジア系および太平洋系住民(APIコミュニティー)に悪影響を及ぼす可能性があると示唆。また、フィリピン人やベトナム人、ネイティブ・ハワイアンは、症例数と死者数が突出して高いと指摘している。

モデルナ社製のワクチン接種は、クマモトさんにとって81歳の誕生祝いとなった

 2月1日時点で、アジア系米国人の新型コロナウイルス感染者数は4万2924人、死者数は1891人。そして、ネイティブ・ハワイアン、太平洋諸島系住民のコミュニティーでは、感染者数3917人、死者数67人にもおよぶ。「アジア系および太平洋系住民コミュニティーの人々から、ワクチンに対して多くの疑問が上がっている。ワクチンについての情報に過剰に反応したり不信感を抱いたりしているが、ワクチンは安全でわれわれの命を救うことができるというものであると知ってもらいたい。より多くの人がワクチンを接種すれば、この健康危機(ヘルスクライシス)を終わらせることができる」とカン氏は訴えている。
 カリフォルニア州では、全ての郡を包括する「Vaccinate All 58」キャンペーンの下、これまで100万人以上の州民が優先順位に応じて無料のワクチンを接種した。優先順位段階のトップにある「1A」は、医療従事者と長期介護施設の入居者で、新たな段階に入っても引き続きワクチン接種を受けることになる。これに加え、65歳以上そして教育、保育、救急サービス、食品・農業関連の仕事に就き感染の危険にさらされている人たちが接種の対象者として追加されている。
 シティー・オブ・ホープ病院で、小児血液/がん科の正看護師として働くハンナ・コマイさんは、1月8日に2回目の接種を受けたという。日々、若いがん患者の治療のサポートを行っているが、自身もがんサバイバーだ。「看護師から医師、呼吸療法士、そして清掃者や駐車場係などを含め、膨大な数のワクチンを供給してくれた職場で働けることにとても感謝している」と話すコマイさん。「科学がもたらした恩恵をありがたく感じているし、パンデミックが収束することを願っている」。コマイさんによると、がん患者にとって最も辛いのは、家族の面会が許されないこと

ハンナ・コマイさんは、シティー・オブ・ホープ病院に勤務し、がんを克服した経験から患者の気持ちになって看護している

だという。「がん治療は1人では難しい。だからビデオ通話アプリ『FaceTime』や電話を使って患者さんと家族が互いに連絡できるようにした」とコマイさん。「もちろん、私たちも時間が許す限り患者さんをサポートするように精いっぱい努めている」
 待望のワクチン接種が開始されたものの、予約を取ることすらできず、現在多くの人々が不満を抱えている。公衆衛生局は、いまだワクチンの供給量が限られていることや、たとえ1回目の接種を受けていても2回目を行う必要があるため、接種のペースは遅くなると予測しており人々に忍耐を促している。
 宇尾野ゆみさんも、できる限り早くワクチンを接種したいと望んでいる1人。歌の講師として「ひまわりカラオケ」教室を主催しているが、昨年に予定していた生徒たちによる30周年記念公演はコロナ禍のため今年の10月に延期となった。その準備を始めたいと考えているものの、現在までのところ、近隣のカイザー・パーマネンテの施設でのワクチン接種の予約は取れていない。宇尾野さんはコンピューターによるオンラインでのワクチン接種の予約は難しいと感じているそうだ。
 インターネットのアクセスがない人たちのために、電話833・530・0473のワクチン接種予約ラインが設けられているが、公衆衛生局ディレクターのバーバラ・フェラーさんは、オンラインで予約することを推奨している。
 ロサンゼルス郡運営サイトでのワクチン接種の予約がすぐに埋まってしまうという混乱の渦中にあって、州は1日にウェブサイト(MyTurn.ca.gov)の新設を発表。サイトに基本的な情報を入力すると、ワクチン接種の予約状況を確認できる上、空いていればそこから予約ができるシステムとなっている。
 ワクチンは、全米で40万人以上の命を奪った新型コロナウイルス感染症の感染拡大を遅らせることができる安全で効果的な方法である、と明言しているのは医師のタン・ドゥオン博士だ。博士によれば、開業医である75歳の父親もワクチンを接種しており、腕に痛みがあったものの、今も患者を診察しているという。「FDA(食品医薬品局)の厳格なガイドラインに沿って多くの臨床試験が実施され、ファイザー・バイオンテック社とモデルナ社のワクチンの安全性と有効性が検証されている。臨床試験には、全米からさまざまな人種や民族、そして健康状態や年齢などが異なる被験者が参加した」と博士は説明している。【グエン・ムラナカ、長井智子、訳=砂岡泉】

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