アカデミー賞候補、作品レビュー

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 今年度のアカデミー賞作品賞候補全8本を勝手な評価(A、B、C)で紹介する。「どれだけ心に響いたか?」「その余韻度は?」が判断要素だ。タイトル表記は「英語オリジナル(邦題)」で記載する。
 「Mank(マンク)」 1941年に公開した古典的名作『市民ケーン』の脚本を書き上げるまでの奮闘秘話ドラマ。予備知識ある映画マニア向けで、内容がやや複雑なのが懸念点。B。
 「The Father(ファーザー)」 老いて認知症に陥る父からの視点を描く。世話する娘に共感する苦悩ドラマ。見ていてリアル過ぎてつらくなった。B。
 「The Trial of the Chicago 7(シカゴ7裁判)」 ベトナム戦争反対デモで7人の若者が法廷で争う60年代の裁判ドラマ。テンポよく展開し、多少コミカルで、実は不当な権力に対して訴える熱いエネルギーが伝わる。B+。
 「Minari(ミナリ)」 新天地への韓国系移民の話だが、夢と希望を持ち、それをかなえようとする人々なら誰でも共感できる。苦難を乗り越えていく家族愛ドラマ。自然美の映像にも注目。ストーリーにやや物足りなさが。A-。
 「Nomadland(ノマドランド)」 ハウスレスの中年女性の心情を通して、バンで生活する現代の開拓者たちの人生観が垣間見られる。リアリズムを追求したドキュメンタリーのよう。淡々と進むストーリーに雄大な自然が見守る。孤独で悲壮感、切なさも残る。A。
 「Judas and the Black Messiah(日本公開未定)」 60年代黒人解放運動を展開するブラックパンサー党の若きリーダー暗殺事件の裏側を描いた熱血ドラマ。スリル感があり、スピーチシーンは圧巻。冷酷なFBIに怒りと仲間の裏切りに同情さえも。A。
 「Promising Young Woman(プロミシング・ヤング・ウーマン)」 想定外の展開とショッキングなエンディングに作り手の熱いメッセージが伝わる。重いテーマだがコミカル風。独特で貴重な異色作。魅了された。A。
 「Sound of Metal(サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~)」 最高推薦作。ポスターデザインとは全く異なる意外な展開で、サウンドデザインと『静寂』が卓越。やるせなさが強烈にグッときた。A+。
 4月25日、ハリウッドで授賞式開催予定。【長土居政史】

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