通称、高齢者または高齢者昼食会と呼ばれる、リトル東京ニュートリション・サービシーズ(LTNS)が高齢者を対象に栄養プログラムを始めて、今月45年になった。活動を始めた当初と高齢者の環境は異なってきているし、昨年からのコロナパンデミックで活動も制限を余儀なくされている。
 パンデミックの前、この昼食会は、配達はもちろんだが、小東京タワーズのダイニングルームで栄養価を考えた食事を提供するだけでなく、高齢者にとっては社交の場として、あるいは福祉に関する情報提供や実際的援助の場、楽しみや健康維持のためのプログラムの場、高齢者にボランティアの機会を提供する場など、さまざまな役割を担ってきた。
 だが、少額でおいしい日本食が食べられて、友達と会って楽しいひと時が過ごせたのが、パンデミックで集まることが禁止されて食事の配達だけになった。部屋に閉じこもっている高齢者には配達のボランティアと話すことを楽しみにしている人もいるが、この状況ではゆっくりというわけにもいかない。
 パンデミックが始まってから、高齢者や、営業制限により仕事に影響を受けた人たちに食事を提供しようという動きは速かった。だがこの活動は、昼食会だけだった高齢者に選択肢を与えることになった。また、それまで遠くから昼食会に来ていた人たちはステイホームで来られなくなり、食事を受け取ることもできない。自ずと提供する食事の数量は減っている。
 この昼食会でボランティアをさせていただいて22年が過ぎた。設立当初のスタッフはもういないが、30年以上、20年以上働いているスタッフはいる。ボランティアも高齢者がほとんどなので、20年前のボランティアはほとんど鬼籍に入られた。
 昼食会に来る高齢者からは、医療・年金関係の英語で書かれた書類を読んでほしい、病院に連れて行ってほしいなどの相談も多い。それにずっと応えてきた。日本語の高齢者にとってこの団体の役割の重要性がどれ程のものかを身近に知っているつもりだ。この活動が早く元のかたちに戻って続けられることを願わずにいられない。【大石克子】磁針

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *