アジア人ヘイトの相談を:日系警官が日本語で呼び掛け

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LAPDが動画作成し公開

YouTube動画を通じ日本語で「アジア系ヘイト被害」の報告を呼び掛けるアレックス・チョウギョウジ巡査

 最近全米でアジア人ヘイトの事件や犯罪が多発し社会問題となっている。その対処としてロサンゼルス市警察(LAPD)がこのたび、日本語で動画メッセージを作成しYouTubeで公開した。日本人と日本語を話す日系人にぜひ見てほしいと呼び掛けている。3分ほどの動画の中で、アレクサンダー(アレックス)・チョウギョウジ巡査はヘイトに根差した事象や事件、犯罪を見掛けたら迷わずに市警に相談することを促している。

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 「今日は私たちのコミュニティーにとって大切なことを話したい」と切り出すチョウギョウジ巡査は、AAPIに対するヘイトクライム(憎悪事件・憎悪犯罪)が増える中で、関係者から「警察に報告されていない事例がたくさんある」という声が挙げられたと述べる。そして、民族や宗教を攻撃するヘイトスピーチも含め、ヘイトや憎悪が理由と思われる事例に遭遇した場合は、「それを事件として通報するべきかどうかを明確にするためにも」警察に連絡してほしいと訴えている。
 「これまでヘイトクライムを通報しない、通報したくない、ということにはそれぞれに事情があるのは分かっているが、あなたに起こったことを警察に知らせることによって、警察は何が起こっているかを把握し、あなたの周りの人々を守るために活動することができる。あなたの体験をレポートすることが、ヘイトクライムに対処する上でとても大切なことだ」と話す。
 LAPDのトニー・イムさんによると、今回、LAPDは同様の動画を英語、日本語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、タガログ語で全7種類、制作した。アジア系の各コミュニティーに対して報告の重要性を喚起しようとしている。
 イムさんに現在のヘイトの原因と対処を聞くと、最近よく言われていることだがイムさんもまた、この社会現象の根底に「パンデミックは中国からもたらされた」という考えの流布があることを挙げた。そのために憎悪が向けられているが、アジア人の顔から出身国を特定することはできないので、アジア人全体が攻撃の対象になっている。パンデミックのために仕事を失うなどして鬱積(うっせき)した気持ちにある人が攻撃を行うので、攻撃者は別のマイノリティーグループに属す人の場合もある。イムさんは、個人でできる対処として「周囲の状況に気を配り摩擦を避けること」、そして「どんな小さなことでも報告すること」を挙げるが、そこには、悪口や言葉の暴力も含まれる。

アジア系へのヘイトクライムに対する抗議活動は、全米各地で起こった

 「発言の自由というものはあるとしても、ヘイトスピーチはその権利に含まれないことを、周知させる必要がある」と話すイムさん。「警察は皆さんのコミュニティーを守りたい。そのために現在起こっていることを把握する必要があるので、ヘイトを受けたり、見たり、聞いたりしたらレポートしてほしい」と続けた。
 全米がアジア人ヘイトに目を向ける機運の高まりの中、言語の多様性を抱えるロサンゼルスの警察が日本語でメッセージを発信することは日本人と日系のコミュニティーにとっては頼もしくもある。ヘイトに遭遇した場合、事件性がなければ胸の中にしまい、「早く忘れてしまおう」と何事もなかったかのように振る舞いたい気持ちは、誰の中にもあるし、友人に話したりSNSに投稿したりすることで終わってしまう人も多いだろう。だが、動画は「一歩進んで警察にレポートすることが周囲を守ることにつながる」という考えを気付かせる。
 アジア人憎悪被害の多くは言葉による暴力だが、フリースピーチのこの国においても「ヘイトスピーチは、どんな場合にも許されない」ということを改めて胸に刻もう。
 言葉の暴力を含む相談・報告は、電話877・ASK・LAPD(877・275・5293)。「日本語で」と言えば、日本語でレポートすることも可能。巡回の警察官に出会えたら直接に話しても良い。緊急通報は迷わず911にダイヤルする。
 動画の視聴は、YouTubeで「AAPI Hate Crime PSA-Japanese」と検索する。【長井智子】

LAPDが公開しているYouTubeの動画では、日本語でヘイトクライムの被害の報告を呼びかけている

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