搭乗前のストレス

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 昨年夏に日本へ向かった時も、随分と緊張した。
 空港からの公共交通機関利用の禁止、入国時のPCR検査が陰性でも2週間の自主隔離が必要との制約があった。結局、ハイヤーなら良いというので、旅行社を通じて手配して移動の問題を解決。自主隔離も、滞在先に事前に食料を運び込んでもらうなどして切り抜けた。そうやって私たち夫婦は、何とか義母の最期に間に合った。
 ところが今月、98歳の実母の介護で日本に向かう私のストレスはもっとひどい。
 最初のハードルは、スマートフォン(スマホ)だった。
 現在日本に入国するには、先述の制約に加え、スカイプなど4つのアプリの入ったスマホを持つことが要求されている。2週間の自主隔離の間の、行政による健康チェック手段であり、現在地確認手段でもある。スマホを持たない場合やスマホにアプリが入らない場合は、到着空港でレンタルが必要とか。ところがいざ準備に取り掛かると、二つのアプリが入らない。入れるには、アンドロイド端末なら6・0以上、iPhone端末なら13・5以上の機能が必要だという。つまり私の機種は古すぎたらしく、急ぎ買い替えとなった。
 しかし、最もストレスを感じるのは、搭乗前72時間以内の検査だ。
 必要な陰性検査証明の要件は厳しい。検査対象(検体)になり得るのは、鼻の奥をぬぐって採取した液体または唾液のどちらか。米国内で通常行われているやり方とは違うという。検査方法も、八つの方法の内の一つに限られ、これも「検査時に自分でしっかり確認しておいて下さい」と告げられた。無料検査機関の利用は論外で、200ドル近くかかる検査でも油断は禁物ということだ。
 知人の医師は、これら厳しい要件の必要性を疑問視する。が、水際対策が強化される中、要件が緩和されることはないだろう。書類不備のために出発を足止めされたり、到着地で強制送還されたりという話を耳にすると、搭乗前の検査を前にストレスは高まるばかりだ。
 ワクチン接種は終えたが感染しないという保証はない。体調に気を付け、人混みを避け、必要書類にも万全の注意を払い…と、今、日本へ向かうのは容易ではない。【楠瀬明子】磁針

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