問題の土地はオレンジ郡、サンバナディーノ郡とロサンゼルス郡の郡境
にあるカーボン・キャニオンという地域。オレンジ郡とチノヒルズを結ぶ
州道142号に沿って広がる丘陵地帯で、用途は宅地。これまで一エー
カー当たり一軒の住宅建設が可能な地域とゾーニング指定されていた。
林さんが地主になったのは1970年代。友人らとこつこつ購入し、一時
は約700エーカーを所有していたこともある。今回ダウンゾーニングの
対象となったのは、そのうち未開発部分の300エーカーだ。
同地域は100年以上前からアルカリ性の温泉が出る地域として知ら
れ、林さん自身も74年から2000年まで温泉宿泊施設「ラビダ・
ホット・スプリングス」を経営していた。「いずれは日本式の温泉郷コミ
ュニティーにしたかった」と夢を持ち、80年、90年にそれぞれ周辺開
発を試み、市に開発許可申請を出したが、いずれもインフレや開発業者の
倒産など経済的理由で、あきらめた経緯がある。
林さんによると、5年ほど前から、同地域内にある300世帯ほどの
「オリンダ・ビレッジ」という地域の住民が「緑化保護」を訴え、これ以
上の開発をするな、と市に求めるようになった。こうした住民の動きを受
け、ブレア市は数年前から「ダウンゾーニング」のための条例変更の検討
を始めた。
新たなゾーニング案によると、同地域は「急傾斜地域」のため、建設可
能な住宅数は300エーカー当たり15軒までに制限する、というもの。
林さんは「これまで300軒住宅を建てられた土地が突然15軒にする
なんて無茶苦茶。95%のダウンゾーニングだ。これでは土地を『使う
な』ということ。市が緑化のために強制買収する、というのならわかる
が、宅地として課税し続け、地主の権利を束縛し住宅を建てられなくする
やり方はひどい」。
林さんは40年以上アメリカに住み、不動産をめぐり多くの経験を積ん
でいるが、「ダウンゾーニング」は初めてでまさに「寝耳に水」だった、
という。カーボンキャニオンの地主は林さん以外に八人いるが、いずれも
面積が小さく、他のオーナーは過去3年以内の購入者ばかり。しかも全員
がアジア系移民で、英語の通訳が必要な人々。「市と闘う必要性につい
て、あまり実感していないようす」で、林さんは法律専門家と相談し
て、なんとか新条例成立を阻止したい、という。
林さんによると、9日夜、行われた市のプランニング・コミッショ
ナーの公聴会には約50人が参加した。「条例変更反対派」は弁護士も含
め林さん側4人が意見陳述、一方、賛成意見は前ブレア市長も含めオリン
ダ・ビレッジの住民や緑化保護アクティビストら。約2時間の公聴会の結
果、5人のコミッショナーは全員一致で「法的な検討が必要」とし、その
場での決議を避け、来月、再度同じテーマをめぐりもう一度公聴会を開く
ことにした。
もしもプラニング・コミッションを通過し、このダウンゾーニング案が
市議会で可決され条例として制定された場合、それを変えるためには連邦
裁判所で闘わなくてはならない。林さんは「費用も時間もかかり、大変な
ことになる。その前になんとかしたい」とし「同じような経験のある人ど
うし助け合うこともたいせつ。もっと情報のほしい人は連絡を」と話して
いる。電話は323・264・4490。(大西、写真も)
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