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第2回「ハーモニック・コンサート」:
日米の障害者が文化交流
2006年12月2日

 「海を越えて世界に響きあうハーモニー」をテーマに、身体的、知的障
害を抱えながらも力強く学び続けている障害者たちによる交流パーフォー
マンス「第2回日米ハーモニック・コンサート」がこのほど、オレンジ郡
アナハイム市のヘリテージ・フォーラムで開催された。主催者側を代表し
て近鉄インターナショナル・エクスプレスUSA社の横山勇一社長は、
「昨年のステージを鑑賞し、合唱やダンス、ドラマ、楽器などに一所懸命
取り組み、ひたむきに表現している姿がとても美しく、非常に感銘を受け
ました。皆さんがそれぞれの障害を乗り越え、さらに人種や国境をも超え
て、この日の出会いを大切な宝物として、これからも頑張っていってほし
い」と出場者全員に温かいエールを送った。(文・写真=石原)

「障害は私の一部」



合唱曲とダンスで参加したHope School
の皆さん(同下)
 障害を持ちながらも、文化、
芸能、芸術の分野で自己表現を
高めていくことにより、社会的
にも自立していくことを目指し
ている日米の9グループ、約1
50人が参加した文化交流フォ
ーラム。基調講演スピーカーに
招かれたダイアナ・エリザベ
ス・ジョーダンさんは発語・言
語障害をもちながら、女優、演
劇の先生、地域社会アクティビ
ストとして多忙な日々を過ごし
ている。

 「子供の時から女優になるのが夢だった。高校で演劇クラスをとった
が、私の話す英語を、誰1人として理解してくれなかった」。しかし、担
任の先生は「いいんだ、ダイアナ。1年後には皆があなたの英語を理解し
てくれるように、がんばろう」と勇気づけてくれた。おかげで、州立ロン
グビーチ大学で演劇のマスターもとることができた。「障害は私の1部で
あるが、それによって制限されてはいけないと思う。障害者の権利は社会
から認められてきてはいるが、まだ偏見を持つ人もいる。映画、TV、舞
台などに出演する機会は年々増えてはいるけど、身障者にプロの演技は無
理だとする古いステレオタイプの考えの人も多く、才能を発揮できるチャ
ンスが閉ざされているのも現実。例えば、ダスティン・ホフマン、ショー
ン・ペンなどの名優が身障者の役を好演している。それ自体は素晴らしい
ことで、反対はしないが、障害者が直接そうした役を演じられるような環
境、理解が生まれてくるように努力を続けていかなければいけない。パフ
ォーミング・アートを通して社会的自立を目指そう」と、自己体験を紹介
しながら、これからの夢を熱く語った。

社会認識で日米に相違

 日本から、同じく基調講演スピーカーに招かれた日本バリアフリー協会
の貝谷嘉洋会長(36)は、筋ジフトロフィーのため14歳から車椅子の
生活。

 貝谷さんがアメリカに来て感じたことは、身障者にたいする社会認識の
高さ。例えばアメリカでは①障害者の自立生活が社会に受け入れられてい
る②障害者が出来ることに着目して、それをサポートする③障害者にかか
わる問題で、非営利団体が社会を変革する重要な役割を担っている—とい
った日米の相違点を指摘した。

 プログラムの第2部は「パフォーマンス」だ。障害児を持つ日本語を話
す親たちのサポートグループ「手をつなぐ親の会」(JSPACC)からは、子供
たちが和太鼓の演奏で参加した。

 同会は、障害に関するアメリカの法律やシステム、常識の違いなどを日
本語で学びつつ、精神的にも支え合うことで、親の自立をサポートしてい
くことを目的に1994年、ロサンゼルスで結成されている。現在の会員
数は、障害を持つ子供の親たちを中心に、医療、福祉、教育、各種セラピ
ーの専門家や障害児教育、心理学を学ぶ学生など100人余り。

 障害者を取り巻くアメリカの環境は法律、制度、支援プログラム、教育
システム、市民の意識など日本と比べると数段も進んでいる。しかしなが
ら、JSPACCのホームページによると、アメリカでは障害があるから
といって公的機関から自動的に一律のサービスが受けられるわけではな
く、親が自分の子供に必要と思うサービスを自ら求めていく必要がある。
というのも、1人1人に最適なサービスを個別に提供することが、本人に
とって「有効で公平なサービス」との考えが基本にある。だから、親があ
る程度の知識をもって担当機関と話し合っていかなければ、十分なケアや
教育を受けられない。言うなれば、親が自分の子供のプロデューサー兼コ
ーディネーターの役割を担っていかなければならないという。

 アメリカのシステムを知らず、また、言葉、文化、習慣の違いなどか
ら、障害児を抱えて途方にくれ、絶望的になる親たちがいるかもしれな
い。こうした悲観的な状況は極力避けなければならない。システムをよく
理解して親も子も実り多い生活を過ごすためにも、勉強、情報交換、交流
の場として「手をつなぐ親の会」の存在意義は非常に大きいといえる。

音楽は障害者の力

 交流パフォーマンスのステージには「手をつなぐ親の会」のほか、ロサ
ンゼルス郡、オレンジ郡を本拠に活動を続けている5組のグループと日本
からは雅楽・笙演奏家の高橋由宇さん、バンド「ダージリン」のボーカリ
スト、田中アサコさん、大阪の障害者福祉作業所「まんぼう」のコメディ
ー・ミュージカルの皆さんが個性的なパフォーマンスを披露した。

 発達障害のある成人を対象とした職業的なパフォーマンスアートのトレ
ーニングを行っているPerforming Arts Studio West(イングルウッド市)
からコーラスとロックバンドが出演。同スタジオは過去3年で、舞台、テ
レビ、映画などの仕事を400件以上こなし、マネジメントにも力を入れ
ている。公演を増やしていくことで、社会の認識を変えていこうとの心意
気だ。

Harmonic

会場のロビーでは出演グループの紹介や児童生徒
らの作品も展示された

 発達障害を持つ学生のために
中学・高校教育と普通校への移
行プログラムを行っている
Hope School(ブエナパーク
市)には12歳〜22歳の生徒
が学んでいる。芸術を通して社
会の中にどんどん入っていこう
との方針が採られ、当日のステ
ージではコーラスとダンスを披
露し、日本語でも「手をたたき
ましょ」に挑戦。歌にあわせて
手をたたいたり、笑ったり、怒
ったりのゼスチャーをまじえて
会場を沸かした。

 スペシャル・オリンピックの代表選手や才能豊かなダンサーが在籍して
いる「Speach and Development Center」(ブエナパーク市)を拠点に全
米で活躍しているHi-Tops Dance Teamは27年の歴史を持ち、現在、1
3歳〜40歳の人たちが学び、公演を続けている。ダンスとともに手話で
コミュニケーションを取る演出も効果的だ。

 高齢者も含めて56人が学ぶHope University(アナハイム市)からはド
ラマとコーラスの二グループが参加。自信をもって社会に溶け込んでいこ
うとの気概を示す熱演ぶりが光る。

 障害を持つ大人のための美術と音楽のプログラムを推奨している
Creative Identity(アナハイム市)からは、男性ボーカル・カルテット
「The Pride」がビートルズのヒットナンバーなどテンポのよい曲を歌い上
げて拍手を浴びた。音楽は、障害者に大きな力を与えてくれる。パフォー
マンスを楽しんでいる生き生きとした表情。自信に輝く瞳がとても印象的
で、世界に響きあうハーモニーがいつまでも心に残る。

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