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ネット裏
永田潤

マダックスから何かを
2006年8月19日

 去る13日に行われた伝統のドジャース—ジャイアンツ戦。グレッグ・マ
ダックス投手とバリー・ボンズ選手の300勝、700本塁打を記録し
た選手として史上初の対決に注目が集まった。しかし、ボンズは禁止薬
物使用疑惑が晴れない限り、大選手扱いしてはならない気がし、一般と
は違った投手対決を楽しんだ。

 マダックスといえばメジャー通算328勝、1992年から4年連続で
ナ・リーグのサイ・ヤング賞、同リーグ15度のゴールドグラブ賞に輝
き、19年連続2ケタ勝利などと、将来の殿堂入りが確実視される大投
手。影響を受けた若手投手は数多くいる。その1人が、同日先発マウン
ドに上がったジャイアンツのジェイソン・シュミットだ。2人の投げ合
いが実現することを10日ほど前から待ちわびていた。あいにく、別の
取材のため見逃してしまったが、「師弟」とも呼べる二投手の期待以上
の熱い戦いが繰り広げられた。

 95年からの1年半、2人はブレーブスに在籍。春季練習キャンプでル
ームメートになり、部屋のテレビで野球中継を一緒に見ていた。マダッ
クスが投手の投げる球種と対戦打者のスイングの角度を分析し、打球の
行方を何度も正確に言い当てたのに対し、シュミットは「そこまで考え
ていたとは」と、仰天したという。

 以来、マダックスのブルペン入りをすべて観察。「1挙手1投足」を注
視し、投球術を盗んだ。シュミットは、第5番手の先発投手に大抜擢さ
れたもののメジャー経験が浅く、マダックスの活躍を真似るまでには遠
く及ばず、弱小パイレーツへと放出された。

 シュミットはそこで経験を積み、ジャイアンツに移籍。頭角を現し、0
2年ワールドシリーズ第1戦と03年オールスター戦の先発投手を務め
るまでに成長を遂げた。大躍進の陰には、マダックスから得た「盗球
術」があったことが1つに挙げられる。

 マダックスについてチームメートで抑えの斎藤隆投手が、言葉で言い表
すのが難しいとしながらも「彼が来てから微妙にチーム、特に投手陣が締
まってきてた」「いい方向に向かっている」と実感するように、若手投手
のみならず選手、コーチすべてのスタッフに好影響を与える大きな存在。
マダックスから何かを見い出し、プラスにつなげてもらいたい。残された
時間は1カ月半か2カ月半しかないが、もちろん筆者もシュミット投手の
ように何かを盗み取るつもりだ。

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