サブプライムローン:
その問題と現状
2007年10月20日
「米経済を脅かす」と報道され、各議員からも救済法案が提出されてい
る「サブプライムローンの焦げ付き問題」。ここであらためて、サブプラ
イムローンとは一体どんなローンなのか、なぜ米経済を脅かすまでに問題
が拡大してしまったのか、また低迷を続ける住宅市場の今後の動向や、消
費者であるわれわれへの影響、今後ローンを組む際に注意すべき事項な
ど、総合ファイナンシャル会社「リーバンズ・コーポレーションズ」のト
レーシー・田口さんに、分かりやすく説明してもらった。(中村)
サブプライムローンとは?
サブプライムローンは、日本語のニュースでは、「低所得者向け住宅ロ
ーン」とか「信用度の低い借り手向け住宅融資」などと紹介されています
が、所得や信用力の低い人だけではなく、ある程度の所得や信用力のある
人でも、サブプライムローンを利用した人が多くいます。
通常、住宅ローンを借りるには、借り手の家計の収入と支出の割合が、
銀行の規定する基準を満たしており、住宅ローンの返済をするのに困らな
いだけの確実な収入があることを証明しなければなりません。また、クレ
ジットスコアが銀行の基準以上の点数であることも条件です。
しかし、バブルとも言える住宅ブームに沸いた過去5年間ほどの間に、
銀行はさまざまな新種のローンを開発し、家を買う人には簡単な審査でど
んどん貸し付けました。また自分の所得に見合わないような高額な住宅を
購入する人も、最初の数年間の返済が低いローンを利用することで、希望
の家を買うことができました。
しかしこのようなローンは、固定金利ローンよりも焦げ付きのリスクが
高いため、金利などの条件が悪く、一定期間を過ぎると金利が大きく上が
るのが普通です。住宅価格が上昇し続けている限り、数年ごとにローンの
借り換えをするか、返済できなくなったら転売することもできるので問題
ないのですが、現在のように住宅価格が下落すると、返済も借り換えも転
売もできないという人が出てきます。
その問題点と現状
サブプライムローンの多くは、最初の数年間を過ぎると返済額が上がり
ます。過去数年間に貸し出されたサブプライムローンの多くで、今、この
返済額の上昇が始まっており、しかも今年に入って住宅価格が下落に転じ
たため、借り換えも転売もできずに返済不履行となって家が差し押さえと
なる件数が急増しています。
しかし全米の住宅ローンのうち、サブプライムローンは14%に過ぎ
ず、米国の経済力から見ればほんの小さな金額にしか過ぎないはずなので
すが、なぜこのような世界的な問題に発展してしまったのでしょうか?
それは、ローンが「証券化」されて、世界中に転売されたからです。サ
ブプライムローンを個人に貸し出したローン会社は、貸し倒れのリスクを
転化し、しかも新たな資金を得るための格好の手段として、ローンを証券
に換えて売り出しました。この際には、格付け会社によって証券の格付け
もされました。世界的な金余りの中、より高い利回りの出る投資を求めて
いた世界中の金融機関にとって、証券化されたサブプライムローンは魅力
的な投資対象でした。また、サブプライムローンは貸し倒れのリスクが高
いとは言っても、住宅という担保があるわけで、住宅価格が上昇を続けて
いる限り、問題ないはずでした。アメリカは他の先進国と違って人口が上
昇を続けており、住宅価格の下落はありえないというような専門家の意見
もあり、証券化されたサブプライムローンへの投資は過熱する一方でし
た。
ところが、今年に入って米国の住宅価格は下落に転じ、サブプライム
ローンの焦げ付きが増え、住宅の差し押さえ件数が急増、6月には格付け
会社がサブプライムローンの証券の格付けを大幅に下げ、ヨーロッパの金
融機関の間で信用不安が広がり始め、これが世界中に波及しました。米国
では大手の住宅ローン会社が破綻し、ドイツやイギリスでも経営危機に瀕
する銀行が出てきました。
市場の動向と消費者への影響
米国の経済成長率は1%下落、今後、個人消費や企業の設備投資にも悪
影響が出てくるのではないかと警戒されています。米国の住宅価格につい
ては、業界団体が早くても2009年までは回復しないのではないかと予
測しています。ただ、最近発表された経済レポートによると、新興国の経
済成長が堅調なため、世界経済全体では力強い拡大を維持する見込みであ
るとのことです。
住宅市場の冷え込みと個人消費はあまり関係がないというエコノミスト
の分析結果もあり、実際のところは誰にも今後の動向は予測がつかないの
だと思います。
消費者への影響として考えられるのはまず、銀行やローン会社からお金
を借りる際の審査が厳しくなります。というより、融資基準が基本に戻
る、というべきかもしれません。もしこの問題が長引けば、企業活動や雇
用が低迷し、失業率が上昇する可能性も出てくるかもしれません。
また、株式市場は、さまざまなソースから出される予測や統計、あるい
はメディアの報道に一喜一憂して、心理的感染が広がりやすいため、お持
ちの株や投資信託の価値の変動が激しいかもしれませんが、あくまでも投
資の基本を守って分散投資し、毎日の株価の変動にあまり動揺しないよう
にすることが大切です。パニックに陥って売り買いするのは間違いの元で
す。
住宅購入やローンで気をつけるべきこと
今回のサブプライムローンの問題は、「米国の住宅価格は上がり続け
る」という幻想が元凶となっていると思います。無理なローンを組んで家
を買った人、無理なローンと承知でお金を貸したローン会社、そのような
ローンを基にした証券に投資した金融機関や投資会社など、関係者すべて
が、「住宅価格は下がることもある」という常識を忘れたことが問題では
ないでしょうか。
今後家を買う方は、自分の経済力で無理をせずに返済できるローンを組
むこと、そしてそのローンの内容をよく理解してから契約してください。
家の購入は、周りの皆が住宅投資で儲けているからとか、家の価値が低い
今のうちに、というような理由ではなく、あくまでも自分のペースで、い
ろいろな条件をよく検討し、余裕を持って、計画的にされることをお勧め
します。
Reavan's Corporation
トレーシー・田口
310-320-0588(代表)
310-800-6333(直通)
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