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すし調理師学校が開校:
和食界の期待一身に背負い


2008年9月13日


祝杯を挙げる金井氏(左)と上地氏

 「質の高いすし職人を養成し食文化を正しく伝える」ことを目的とし、
日系二社が共同で小東京に設立した「米国すし調理師学校(Sushi
Institute of America)」は3日、同校で開校式を催した。約220人の
参列者が見守る中、鏡割りをするなどし、米国和食業界の期待を一身に背
負った調理師専門校の門出を盛大に祝った。

 その盛り付けの美しさから「芸術」と、しばしば称され世界に広まりを
見せるすし。だが、問題もある。全米規模ですし店が増加するのに伴い、
職人の数が不足するばかりか、正しい知識を身につけず腕前も未熟な料理
人もおり質の低下が叫ばれている。味はおろか本来のものとかけ離れたす
しとは呼びがたい創作料理を出す店もある。生もの(生魚)を多く使うた
め食品衛生を徹底させなければならない和食の安全性を脅かす恐れが出て
きている。

 そんな現状を危惧した日本食総合卸業者「共同貿易」(金井紀年社長)
と「カツヤ・レストラングループ」(上地勝也会長)が手を組み、同校を
設立。金井氏が会長に就任し、カツヤの総料理長でもある上地氏が校長と
主任講師を兼任する。

 式典で金井、上地両氏が開校のあいさつに立ち、建学の精神を説き支援
を求めた。金井氏は、上地氏を「自分と同じ未来像を描いて哲学を持つ。
日本食に対する情熱と新事業への意気込みがある」と評し、最良のビジネ
スパートナーであることを強調。正統すしを教える同校の将来を展望して
「次世代を担う職人を輩出し、その卒業生が世界中に日本伝統のすしを広
めることだろう」と、期待に胸を膨らませた。上地氏は「自分は学校嫌い
の悪い少年だったが、この学校はおもしろくしてみせる」と、若手職人の
育成に意欲を示した。

 伊原純一・在ロサンゼルス総領事や日本食業界関係者、経済団体の代表
ら来賓が祝辞を贈り、前途の成功を祈念した。総領事は、「世界に広まる
すしが日本のイメージを高めてくれている」と高く評価する半面、職人の
質の低下に伴うずさんな衛生管理を案じた。金井、上地の2氏に向け「優
秀なすし職人を育ててほしい」と、エールを送った。

 上質ののりとお茶の供給で、すしの普及に貢献する米国「山本山」の副
社長・斎藤孝氏は、「今では当たり前のようにアメリカ人がすしを好んで
食べるが、味や品質が下がれば食べてもらえなくなる。日本伝統の食文化
を守る点ですし学校の開校は望ましい」と語った。加州米をプロモートす
る非営利団体「カリフォルニア・ライスコミッション」のティム・ジョン
ソン社長は、すしに適した同州産の短・中粒米は「すしに育ててもらっ
た」と、恩恵に浴したことに力を込めた。すし学校の生徒に対し「正しく
学び、立派になってもらいたい」と、期待を寄せた。

 金井氏の調理師学校設立の構想は10年前からあり、5年前から準備を
開始。自社ビルを校舎にするなど施設面は充実させたものの、教育面が欠
けていて思うようには進まなかった。しかし、独自に学校設立を考えてい
た上地氏と半年前に出会い状況は一変。正しい日本食を広めるという同じ
志を持ち、「運命的な出会いを感じた」という両氏は、和食業界の問題点
や将来について持論を述べ合い意気投合。特に優秀な人材育成で意見が一
致し「われわれがやるしかない」と、わずか30分でパートナーシップに
向けて大筋で合意に達したという。2人は、学校経営で儲けるつもりは毛
頭ないことを強調し「純粋な気持ちで、いい人材を育てたい」と、使命感
に燃える。

 今月末から始まる授業は週5日の1日4時間で、午前部と夜間部が選べ
る。基本コース2カ月が3000ドル、上級コースが1カ月2000ド
ル。修了後は、カツヤ・レストランで1週間の実習を受ける。定員は少人
数制の20人。技術のみならず、校訓を定め、和食の哲学、もてなしの心
を教え、職人魂を植え付ける。

 Sushi Institute of America
 843 E. 4th St. Los Angeles, CA 90013
 電話213・617・8090。
 www.myspace.com/sushischool
(永田潤、写真も)

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