Browsing: 楠瀬明子

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 その日のことは今も鮮明によみがえる。  日本に到着してほどなく、久しぶりに会った親戚と銀座三越の9階で昼食を終えたばかりの時だった。天井からつるされた照明器具がブーンと左右に揺れはじめ、窓の外を見るとクレーンが大きく揺れていた。揺れが止むのを待って一階へ降り、とりあえず喫茶室に座り込むと、余震のたびに「皆さん、テーブルの下へ」とウエートレスの声。

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 新型コロナウイルスのワクチン接種が、身近なものとなってきた。最初は12月、メディカルセンターに勤務する息子だった。続いて1月には「自分も1回目を済ませた」と他州の娘から喜びの電話が入った。  ワシントン州では1月半ばから、高齢者枠の予約がオンラインで開始。

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 大統領就任式を来週に控えるまでとなった。  いつもであれば、11月の投票日かその翌日くらいに開票結果を知ると、次は1月の就任式まで関心はないのだが、今回はこの間がずいぶんと長く感じられた。初めて知ったことも少なくなかった。  接戦州での決着がつくまでが長く、テレビの前に座る時間もまた長かった。

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 「クリスマスを(シアトル郊外の)家で過ごすのは初めてなの」と15歳の孫娘。毎年、学校が冬休みに入ると南カリフォルニアの祖父母の元に飛び、いとこたちに会ったり、ディズニーランドに行ったりして楽しく過ごしてきた。それが今年はコロナで激変。授業はオンラインとなり、休みになっても自宅にこもるだけの日々。

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 大統領選挙はいつも固唾(かたず)をのんで見守るのだが、今年はこれまで、いつになく私の緊張が続いていた。このまま同じ4年間が繰り返されたらアメリカは大変なことになるのではないかと、心配したからだ。  この秋に18歳を迎え「大統領選に投票できる」と胸を張っていた孫は、早々に期日前投票を済ませた。

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 アメリカに戻る前に再度福岡の実家に帰省すると、黄金色となった田んぼを紅い彼岸花が色どる景色がそこここに広がる秋となっていた。ここ数日、この秋色の中を走るバスに乗って、私は母のもとに新聞を届けている。  もうすぐ98歳になる母は、椅子から立ち上がろうとして転んで動けなくなり、救急車で病院に搬送された。

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 帰省中の日本の夏はコロナと熱中症対策で終わるかと思えたが、9月に入ると立て続けに9号10号と台風が登場し、ニュースも台風一色となった。  特に10号は、その大きさと強さが並はずれているとして、気象庁と国土交通省が共同で異例の記者会見を開き、「(鹿児島上陸12時間前には)特別警報発令の可能性がある」と発表。

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 新型コロナの影響で春場所(3月)は無観客開催、夏場所(大阪場所、5月)はキャンセルとなった大相撲は、通常なら名古屋場所の7月を東京・両国の国技館で観客数を制限して行われ、再入幕の元大関、照ノ富士(てるのふじ)が千秋楽に二度目の優勝を決めた。  照ノ富士を応援していた妹は、大喜び。

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 つい先頃まで人々は世界中を行き来していたのに、コロナは多くの国の門戸を閉ざし、鎖国の時代に戻ったかのようだ。入国制限や航空便の激減で日本の遠くなった思いがしている時、義母の容体が思わしくないので戻るよう連絡が入り、急きょ日本に向かうことになった。  旅はまず、運航便の確認から。

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 6月最初の週末の朝、風船などで飾り立てた車が、ショッピングセンター駐車場に次々と集まった。新型コロナウイルスで行動が制約される中での、コミュニティー・パレードの始まりだ。シアトル市と近郊での外出禁止令が少し緩和されて、胸がちょっとだけ弾む朝のこと。

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 朝顔につるべ取られてもらい水、との一句を数十年ぶりに思い出した。  それほど広くもない庭だが、わが家の裏庭は塀で囲まれており、安全な場所となっているらしい。4月のある日、台所仕事をしていると、頭上にちょうちんを掲げたようなウズラの雄が塀の上にじっと止まっているのに気付いた。

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 「驚くほど便利な世の中になったものだ」と夫。インターネットを使った会議アプリZOOMでの家族ミーティング直後の感想だ。  昨年末は利用者1千万人だったというZOOMは、新型コロナウイルスで外出が制限されるようになった今では利用者2億人といわれ、私たちもその中に入った。

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