Browsing: 萩野千鶴子

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 秋桜と書くコスモスは、日本では秋の季語として使われるが、加州の我が家の前庭には、真夏日が続く今を盛と咲いている。前庭は早朝に朝日を受け、植物が良く育つ。水をやるだけだが、勢いよく何重にも群生している。赤、白、濃淡のピンクと、色とりどりの花々がそよぐ姿は格別に美しい。

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 今、私は夢の中である。というのは、現実のすべての風景が、すがすがしく輝いて見えるからである。事務机の向こうに広がる裏庭は、白、紫、黄色、オレンジ、ピンク、赤の花々の色が飛び交い満ちて、光輝いている。木々の葉の先は銀色や黄緑の光がキラキラ無数に踊っている。なんて美しい庭だ。

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 読書やセミナーから得た共通の情報では、高齢者の課題は、病気と孤独だそうだ。私自身も、目と歯がダメになり、なんとなく鬱(うつ)になる孤独感を体験し始めた。明るく元気で、一生前進すると計画していたのに、驚きの展開に面食らっている。  長年の使用で、くたびれ始めた体は、各々の個体特有の弱い箇所に、病気が発症する。

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 ラグナビーチに近いアリソ・ビエホの丘の天辺に、バシリカ建築の立派な建物が連なっている。初めて見た人は、その大規模な建築物の色合いといい、建築スタイルといい非の打ち所のない立派さに驚く。威厳がある。一体何だろうと思うはずだ。  周囲は丘また丘が連なり、ビーチ特有の澄んだ青空と自然の緑が目に染みる。

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 先日、友人たちと集まり、1年に1度の旧交を温める機会があった。5名全員、各々の分野で専門職を持ち、それなりに業績を残してきたプロフェッショナルである。くったくのないお喋りだが、話の内容は豊かで実りがある。仕事、ボランティア、社会や経済の動き、こういう場にはご法度とされる政治や宗教の話題も出る。

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 行きつけの郵便局や銀行の窓口に異変が起きている。私は米国西海岸で一番大きいリタイアメントコミュニティー、ラグナウッズ市の傍に住んでいる。近所の郵便局はかつてはそこの老人たちで賑やかだった。局員は彼らの名前を覚えていて、明るく迎え、小会話を交わしながら、仕事をテキパキと片付けた。

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 先日ニューヨークに10日間滞在した。マンハッタンの摩天楼は、澄み切った冬空に屹立していた。恐ろしい程の高さのビルの森は人間の温もりを拒絶する。高所恐怖症というものがあるが、下から天辺が見えない無数のビルを見上げる恐怖もある。足がすくむ。  焼け落ちたワールドトレードセンター跡地のグラウンドゼロは、真冬だというのに、たくさんの人が訪れ、重い沈黙が流れていた。

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 リバティーベルといってもピンと来ない方も多いだろう。切手になっているあのヒビが入ったベル、と言えば分かりやすいかもしれない。この本物を見る機会があった。  ニューヨークのペンステーションからアムトラックで1時間20分でフィラデルフィアに着く。長い名前の意味は「兄弟愛の市」だが、フィリーと短縮して呼ばれている。

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 感謝祭の休日は穏やかな天候に恵まれた。加州最悪の山火事がウソのような、雨のぱらつく寒い日もあった。山火事の最中にはあれほど望まれた雨は降らず、今になって雨が降る。今度は焼け跡の土砂崩れなど、二次災害が心配される。自然はなんと情け容赦のないものか。物質を全て失った被災者にとり、これから先は、精神的になお一層辛いホリデーシーズンを迎える。

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 先日、夜のコンサートに高齢者を誘い、一緒に楽しんだ。人生の先輩たちと過ごす時間は、彼らの生の切実な声が聞け、私の行く道を照らしてくれる貴重な一時となる。  コンサートの歌い手はデビュー45年、一つの道を究め続ける。その実力と多才さに、心底、感服した。彼の作詞作曲した44年前の名曲は、われわれを青春時代にタイムスリップさせる。

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 先日知人宅で「中秋の名月」パーティーが開かれた。前日の夜は、澄んだ秋の夜空に奇麗な満月が昇っていたのに、その夜は雲に隠れ、わずかに月明かりを感じる程度だった。それでも夜気が少し冷たい夜に、30人余りが集い、語らいあうのは、久々に穏やかで心安らぐ時間だった。

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 今夏はあれだけの猛暑だったのに、8月も終盤になると、いつの間にか、朝夕は心地良い涼風を感じるようになった。夏の終わりはいつも名残惜しい。何かをどこかに忘れてきたのでもないが、言い尽くせなかった思いが残されたような、未完結さがある。とは言うものの、夏の太陽と青空の下で遊んだ満足感はある。

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