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羅府エッセー
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 3月のある朝、セットしたコーヒーができる間にと、裏庭に出てみた。光に、空気に、やはり春のにおいが感じられる。裏庭続きで小高くなった場所にある裏隣さんとの間はなだらかな斜面になっていて、そこにはイネ科の雑草が芽吹き、その葉先の一つ一つが露を結び、何百という小さな球がキラキラ輝いていた。上でワンワンと子犬2匹が柵越しに私を見ている。間もなくその家の主婦ジャッキーが顔をのぞかせた。「おはよう、マリ」「おはよう、ジャッキー」「いい日になりそうね。マリ、最近コヨーテが徘徊(はいかい)してるわよ、うちの庭にも入った跡があるのよ。穴を掘って潜り抜けてくるようよ」「まあ、ジャッキー、気を付けるわ。でもどうして分かったの」「ふんがあったのよ」「あら、そうなの。フーン」(これはさすがに通じない)「今日もいい日になるといいわね」「そうね、ところでジャッキー、私は昨日の晩からコーンビーフを煮込んで、いいカンジなの。夫の好物なの」