フォーラム「Save the Rafu」:日系新聞の現状と将来、コミュニティーで意見交換

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新聞の役割について語る羅府新報のマイケル駒井社長


 南加日系史協会(JAHSSC)創設者の一人で、コミュニティーリーダーのイクコ・キリヤマさんが主催したタウンホールフォーラム「羅府新報を救おう」(Save the Rafu)が1月17日、「ガーデナ平原日本文化会館」で催された。会場には日系コミュニティーから約100人が集まり、消滅の波が襲う新聞業界に残された創刊106年の羅府新報の将来について話し合いがもたれた。
 同フォーラムの開催は、北加にある日系新聞、「北米毎日」と「日米タイムズ」が相次いで廃刊を発表したことを受け、危機感を感じたキリヤマさんが発案。羅府新報英語編集部のグエン・ムラナカ編集長と、90年代から英語紙面にコラムを執筆するジョージ・ヨシナガさんらの協力を得て、購読者のみならず日系社会の人々を招き、「羅府新報がこの厳しい情勢の中生き残るために必要なこと」をコミュニティーで話し合う場として実現した。
 インターネットの普及により、新聞や出版物の発行部数はここ数年急激に減少、求人広告は新聞の紙面から無料のネットや無料雑誌などに流れた。にもかかわらず、紙代、印刷代、郵送代はことごとく高騰を続けている。

フォーラムを主催したイクコ・キリヤマさん


 こういった困難な状況の中でキリヤマさんは、コミュニティーの人とともに意見を交わす重要性に着目。「今までプリントジャーナリズムやコミュニティー紙について自分の意見を述べてきたが、新聞業界が直面する経済問題についてそろそろみんなが積極的になるべき時なのではないか」と述べた。
 キリヤマさんは、同フォーラムは独立した会合で、自由にそれぞれの考えや意見を交換できる場であり、資金集めや購読者勧誘の目的は一切ないとあらためて強調。多くの人が集まったことに感謝するとともに、今回のような羅府新報存続を目的とした「草の根的活動」が、今後も続くことを願った。
 フォーラムでは、英語編集部のムラナカ編集長が羅府新報が現在抱える財政危機を分かりやすく数字で公表。それによると、羅府新報は現在35万ドルの負債を抱えており、今年1年間新聞の発行を続けるためには、月々1万2000ドルの収入増が不可欠であるという。
 1907年から同社を運営する駒井家の3代目マイケル・駒井社長は、財政難を乗り越えるべく、ウェブサイトを改善、また発行日数削減などを実施せざるを得なかったと述べると同時に、日系人の歴史を伝承していくうえでも、羅府新報がコミュニティーのための適切な情報源であり続ける必要性を強調した。
 駒井社長は、「羅府新報はコミュニティーの単なる声ではなく、コミュニティーのさまざまな声、さまざまな価値、さまざまな是々非々を代弁している」と述べ、「新聞は、さまざまなアイデアが集まる場所であるべきであり、それが新聞のすべて」と、集まった人々に訴えた。
 続いて、参加者は小グループに分かれ、「どのように羅府新報の財政難を安定させるか」「紙面の内容はどのような改善が必要か」の2点を中心に話し合いがもたれた。またこの他に、地元スポーツの取材内容や、日本語紙面の内容についてを話し合うグループもあった。
 それぞれのグループから集められた戦略で共通していたのは、羅府新報を非営利組織にする方向性を探るという概念。これは、昨年廃刊となった「日米タイムズ」も現在模索している。
 これについて参加者の一人、エイミー・フィリップスさんは、「日系コミュニティーは歴史的にも、しっかりとした組織に対しては惜しみなく支援することが知られている。羅府新報のようなコミュニティーに密接した団体であれば、現実的な話だと思う」と前向きな考えを述べた。
 また、地元のスポーツニュースをもっと取り上げるべきとの意見も多数上がり、これについて英語編集部のジョーダン・イケダ・スポーツ欄編集長は、「1つの(バスケットボール)リーグには約50チームが所属しており、毎週試合をしている」と、人員不足から取材範囲を広めることは現実的に難しい点に触れ、「われわれにとって重要なのは、選手の両親や祖父母、またコーチなどからの寄稿や投稿」と述べた。
 その他の提案として、外部の人にコミュニティー問題について書いて投稿してもらったり、祖父母や友人から羅府新報を譲り受けて読み回しをするのではなく、読者が各自購読料を支払って購読するべきなどの声もあった。
 参加者の一人、チャールズ・イガワさんは、日本語のページ数の方が英語に比べ断然に多い点に触れ、「日本語のページを主なニュース源にしている日本語読者を対象とした努力も必要だ。羅府新報より無料紙の方が一部では読まれており、広告を掲載するビジネスはその動きを周知している。羅府新報はもっと日本語読者のニーズに合った内容にすべきだ。そうすることにより、広告を掲載するビジネスの動きも変わってくるだろう」と見解を述べた。
 イガワさんはまた、この日日本語編集部からの参加者が誰もいなかったことに触れ、「羅府新報の立場を物語っている」とも指摘した。
 フォーラムの終盤、ムラナカ編集長はあらためて参加者らに感謝の意を述べ、キリヤマさんは、日本語読者を対象とした同様な話し合いも開かれることを強く望むとあいさつした。
 フォーカスグループの司会を務めた、加州日本街保存委員の委員長アラン・ニシオさんは、羅府新報の保存は、ただ単に地元のビジネスを安定させることではなく、それ以上の意味をなすと強調。羅府新報を失うことは、日系人の声が集まる場所がなくなることに等しいと理解を求めた。
【マイケル・平野・カルロス、訳=中村良子】

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