さくらさくら

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 春。季節感の薄い国に住んでいたとしても、春には何だかうきうきして気持ちが嬉しくなります。それは日本人に備わったDNAに刷り込まれているからなのかもしれません。植物にとって花や実そして葉がない冬には冬芽が主役です。冬芽とは、枝先などについている小さな芽のことで、春に開く葉や花がその中に格納されているのです。春にはこの冬芽から葉や花がいっせいに芽を出してきます。われわれはそのように春を感じることで、その恩恵に預かることができるわけです。
 今から約125年前、この季節感をアメリカにも贈った偉人がいました。高峰譲吉です。彼とその妻キャロラインは、記録上で残る最初の日本人とアメリカ人の国際結婚であったそうです。
 譲吉は今でも医学上においてなくてはならない止血薬のアドレナリンや、消化薬として有名なタカジアスターゼを生み出した化学者でした。
 このノーベル賞ものの発明をした高峰譲吉は、日本では実はあまり知られていません。それは、日本人でありながら苦労をしてアメリカで大きな功績をあげた人だからかもしれません。ただ彼は日本人アメリカ人ということでなく、世界中の人の命を救うために自分の信念を貫いていきました。
 ワシントンのポトマック河畔に咲く桜、そしてニューヨークのハドソン川に咲く桜、これを日本から贈ることを考え、実行するために奔走したのもまさに彼でした。その後はまぎれもなく日米の懸け橋になっていったのです。
 この季節、アメリカでも各地で桜が咲いていきます。われわれは桜を見ることによって、気持ちを晴れやかにし、そのはかなさも感じ、そして次のステップに向かう希望をもらいます。
 彼の功績を称え、多くの方に知ってもらうために、高峰譲吉の生涯を描いた映画「さくら さくら」がつくられました。あなたのDNAに備わった日本的な高揚を胸に、素晴らしき先人の軌跡をたどるのはいかがでしょうか。 【朝倉巨瑞】

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