名古屋の明と暗

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 名古屋市を訪ねた。1959年4月以来、ロサンゼルスと姉妹都市縁組で結ばれている名古屋の春は今、明るさと不安とが混じっていた。
 市中心部に広がる緑の中には、かつて「尾張名古屋は城でもつ」とうたわれた名古屋城が人目を引く。姫路城よりも早く城として最初に国宝に指定されたことが地元の誇りだったこの城は、戦災で、石垣を残してことごとく消失。59年になって、金のシャチホコをいただいた天守閣が再建された。
 今年は、徳川家康が築城を開始した1610年からちょうど400年。「名古屋開府400年」と、節目を祝うバナーがあちこちに翻り、天守閣の裾では本丸御殿再建の工事が進行中。戦国武将に扮したキャラクターたちが観光客を喜ばせ、城は今なお、名古屋最大の観光スポットとして健在だった。
 名古屋はまた、トヨタの町でもある。ホテル売店の売り子さんに景気を尋ねると、「これまでになく悪い」と首を振る。「どうしようかと思うほど。トヨタが今後どうなるかで、もっと心配」と力がない。名古屋大学を訪れたところ、工学部の学生の就職希望トップはこれまでずっとトヨタ(本社:愛知県豊田市)だったのが、今年はデンソー(本社:愛知県刈谷市)だと教授が言う。デンソーは、トヨタだけでなく、日産、ホンダなど各自動車製造会社へ部品を供給しており、いわば危険が分散される形。
 学生たちも今回の一連のリコール・改修に大きな不安を感じているということなのだろう。
 なお、JR名古屋駅近くのノリタケ工場跡地を整備した「ノリタケの森」(2004年開園)では、陶磁器生産の工程を学び、対米輸出100年の製品と歴史を振り返ることが出来た。「ノリタケ」の名が則武という地名から来たものであること、対米輸出品を求めて陶磁器生産は開始されたこと、ノリタケ洋食器がアメリカの一般家庭に入る端緒はセールスのおまけ品だったことなど、その歴史には興味深いものがある。【楠瀬明子】

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