早大野球部ロサンゼルス遠征:恵まれた環境で多くを吸収―日本一奪還を誓う

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加州立大ロングビーチ校に勝利し、健闘を称える早大選手ら。他5試合は加州立大ノースリッジ校、UCLA、UCサンタバーバラ、加州立大フラトン校、UCリバーサイドと対戦した

 創部109年の伝統を誇る名門「早稲田大野球部」(應武篤良監督)が4年ぶりのロサンゼルス遠征(2月25日〜3月12日)を行った。選手ら27人は春季リーグに向け、温暖な天候でキャンプを張り調整を順調に進め、南カリフォルニアの1部リーグの6大学と各1試合を戦った(早大の2勝4敗)。さらに、ドジャースの好意で大リーグに接する機会を与えられ、ドジャー球場と同球団のアリゾナ州の施設で練習し試合も観戦。恵まれた環境の下で国際感覚を養い、多くを吸収した選手は3年ぶりの日本一奪還を誓った。【永田 潤】

送りバントをきっちりと決める渡邊侑也二塁手

 野球部の春季トレーニングキャンプは通常、沖縄で行われる。海外は不定期に国を変えて実施され、近年多く訪れているロサンゼルスは今回で11度目。対外試合がほとんどない国内キャンプと異なり、海外では交流試合のみならず異文化を学ぶことで国際感覚を身につける利点がある。その上、今回は野球の発祥国であり、野球選手の誰もが憧れる大リーガーと接したことが大きい。
 一塁手、二塁手、遊撃手の内野守備をこなした後藤貴司は、天然芝の守備に「(人工芝)よりもボールが遅く来るので前に出て捕った」と対応、数々の好守備でチームをもり立てた。2006年9月には全日本高校選抜チームの主将として当地を訪れており、その時と比べて「視野が広がり勉強になったことが多かった」と成長を自認できたキャンプだった。
 渡邊侑也二塁手は「投手の投げるストレート系の球が食い込んできたり、逃げたりした」と、米独特のムービングボールを経験。初めて目にする球にもアジャストしてコンパクトに振り抜き出塁し、得点に絡んだ。「ボールの威力が日本と違うが対応でき、日本で生かしたい」。

UCLA戦で左翼越えのホームランを放つ宇高幸治三塁手

 米投手の印象を山田敏貴外野手は「UCLAやフラトンの投手の球がすごく速かった。捉えたと思ったのに、詰まったり、芯を外され打ちづらかった」と、速球と動く球にてこづった様子。キャンプでの収穫は、(レフトの)守備と打撃に課題を見つけたこと。メジャーの見学では「超一流の選手でも朝早くから練習するのには驚いた。見習いたい」と述べた。
 斎藤佑樹、大石達也とともに今秋、日本のプロ野球のドラフト上位指名が予想される早大の3本柱の1人福井優也投手。今回は好投を続け「日本の打者の方が小技があり嫌だ。アメリカの打者は振り回すので、低めに投げれば抑えることができると分かった」と、手応えをつかんだ。プロに進む予定だが、メジャー挑戦はまだ考えられないという。

好ブロックで得点を阻止する市丸大介捕手(右)

 選手はプレー以外では、「アメリカは野球環境がいい」と口を揃えた。青々とした天然芝のフィールドや屋内練習場などの施設面が、メジャーのみならず遠征した6校とも「これが大学の球場なのか」と、疑うくらい日本に比べ充実しているという。野球部の練習は今回、コンプトンのMLB傘下のアーバン・ユース・ベースボールアカデミーの施設を使用。大学のキャンパス内に2面のフィールドを持ち「アメリカは大きい」と、スケールの違いに驚いていた。
應武監督「充実したキャンプ」
メジャー志向抱いた斎藤

 「アメリカのベースボールを学びに来た」と説く應武監督。米野球記者から「ワールドベースボール・クラシックを2連覇した日本がなぜ、米国に来なければならないのか」と問われた。監督は「アメリカがナンバーワン」と言い切り、「目標が必要で上を見るべき」との持論を述べ、米遠征の意義を強調した。

斎藤佑樹はロサンゼルス遠征で3試合に登板した

 遠征を経験した選手は卒業後、プロ、社会人、その後は指導者となり野球とともに生きる。監督は「各自の野球人生にとってこの遠征の経験が必ず役に立つ。次の100年に向けての早稲田の野球にとっても財産になると確信している」と胸を張った。遠征を総括しては、「全員が試合に出て反省し、課題も見つかったことがいい。メジャーに触れたことで、新たに大きな目標が持てたと思う。充実した2週間だった」。
 斎藤佑樹主将はチームをまとめ、「約2週間いろいろなことを経験でき、個々の選手が学んだいい遠征になった」と振り返り、「アメリカは野球に関してすごく真剣な国だと思った」と感想を述べた。「3月にキャンプをしたから」と思えるように、「春と秋のリーグ戦でいい結果を出したい」。また、ケガで遠征不参加の選手を思いやっては、「日本に帰ってキャンプで学んだいろんな成果を伝えたい」と話した。
 斎藤は自身については、投げ込みに努め「フォームを固めることができ、リーグ戦まで1カ月あるので、これが一定に出せるようにしたい」と抱負。ドジャースタジアムでの練習でマウンドで投げたことを貴重な体験と喜んだ。メジャーのキャンプも見学し刺激を受けた様子で「また、ここに戻って来たい」と話し、将来に向けメジャー志向を抱いた大学生活最後のキャンプを終えた。
オマリー氏から歓待
ドジャース元オーナー

 選手らは、野球部をこよなく可愛がるドジャース元オーナーのピーター・オマリー氏から歓待を受けた。両者の友好関係は、ドジャースのスタッフとして実績を積み、オマリー氏の父ウォルター氏に認められた野球部OBの故アイク生原氏の絶大な信頼があるため。生原氏はオマリー家と家族同然の付き合いをし、オマリー氏は同氏の後輩たちも家族だと考えている。

オマリー氏(中央)と握手を交わす應武監督(右)と斎藤主将

 野球部一行はLA到着後、真っ先にオマリー氏の父ウォルター氏とその横で眠る大先輩生原氏の墓に参り献花。また、野球部元監督の石井連蔵氏と協力し日米大学野球を始めたUSCの伝説的監督故ロッド・デドー氏の墓参も行い、各恩人に敬意を表した。
 「ワセーダ(早稲田)の選手はみな、アイクと私の息子だ」と公言するオマリー氏。ビバリーヒルズの高級ステーキハウスで歓迎会を開き、140オンスのステーキをごちそうした。選手に向け「いっぱい食べて栄養をつけ、遠征で経験を積んでほしい」とエールを送った。オマリー氏は、「今後も野球部といい関係を続けていきたい」と希望している。
ロサンゼルス遠征に参加した早大野球部

ロサンゼルス遠征に参加した早大野球部


UCリバーサイド戦開始前の日米両国の国歌斉唱で整列するメンバーら


各内野で堅守を見せる後藤貴司


早大3本柱の1人福井優也投手

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