外国免許切り替え試験

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 何カ月かを日本で過ごすうちに、日本の運転免許取得を思い立った。あちこちで「健康保険証か、運転免許証を」と言われ、その度にパスポートを提示するのがいやになったことが一つ。用意して行った国際免許証ではレンタカー利用は容易ではないことが分かったのが二つ目の理由だ。
 外国の運転免許を持つ者に日本の免許をも発行する「外国免許切り替え」手続きは、運転免許試験場で持参書類の審査が終わると、適性検査、交通常識の試験と続き、実地試験日を予約して最初の日が終わった。
 右側通行と左側通行という、日米の大きな違いは覚悟していた。が、そのためには道路標識は道の左側を見ることや、方向指示器は右手で操作するなど、慣れないことばかり。友人に同乗してもらっての練習では、ウインカーのつもりで何度ワイパーを動かしてしまったことか。
 初めての実地試験は、緊張によるミスで不合格。アメリカで30年以上安全運転してきた自信が覆され、当日の受験者全員の不合格を知って、免許が遥か手の届かないところにあるように思えた。これで最後と決めた2度目の受験もまたダメで、自信は完全に喪失。が、試験場で出会った女性に「ぜひもう一度受けましょう。このままでは口惜しい」と強く誘われ、ダメで元々と次の受験日を決めた。
 ところが幸い3度目はそれまでと違った。海外からの帰国者や外国人の受験者を前にその日の試験官は、「間違ってワイパーを動かしても減点の対象ではありません。パニックすることなくその後にウインカーを動かしてください」「コース指示を聞き落とすことがあるかもしれませんが、大丈夫、もう一度同じ場所へ誘導します。ただし、その間の運転も試験の対象であることは忘れずに」と説明。気持ちはぐんと楽になった。他の受験者も同じだったらしく、その日は多数が合格。誘ってくれた女性と私は後日、合格の祝杯を交わしさえした。
 ワイパー動いても大丈夫—もし外免切替試験を受けることになったら、自分にこう言い聞かせることをお勧めする。【楠瀬明子】

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