ベルの余波

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 ひとの懐を勘定して羨むのはいやしむべきことだが、市の幹部がお手盛りでケタはずれの報酬をフトコロにするのは看過できない詐取的行為。
 ロサンゼルス市南東のベル市。開拓者J・G・ベルの名を冠して1927年に市制化。面積2.64平方マイル、人口3万6657人(2008年)。市民の17%が貧困層という、ロサンゼルス郡内でも決して豊かではない小規模な市で発覚した超高額報酬問題。
 事務方トップのロバート・リッツォ行政管理官の報酬は78万7637ドル。オバマ大統領の年俸40万ドルのほぼ2倍だ。ほかに、市警本部長は45万7000ドル、市マネジャー補佐は37万6228ドルを受け取り、いずれも毎年12%の昇給を取り決めているというから、正に「役人天国」の見本。さらに、5人の市議のうち、昨年10月に市議となった1人を除き、年俸は10万ドル。
 カリフォルニア州法は「市議の報酬は市政規模に準じ、月額300〜1000ドル」と規定。なのになぜ、このような無秩序、無節操がまかり通っているのか。
 ベル市の報酬カラクリは確信犯。事は2005年11月の特別選挙に遡る。投票者が400人にも満たなかったこの選挙でベル市は、市民に詳しい説明をせず、公聴会を経れば州法に拘束されず何でも自由に決められる特権を持つ「チャーター・シティ」の仲間入りに成功。あとは、やりたい放題。私腹を肥やす悪代官、悪徳シェリフのイメージそのままの市幹部と市議会。
 市民の怒るまいことか。リッツォ氏らは市民の激しい怒りに抗しきれず24日未明、辞職を決意。それでも退職年金は65万ドルになるという同氏。現時点では、州公務員で最高年金を受けている元バーノン市マネジャーのB・マルケンホースト氏の50万9664ドルを抜いてトップに。
 生涯、毎年これだけの年金を保証されたら、ベル市民でなくても、ひとの懐勘定をしてしまいたくなるのも人情か—。
 ベルの余波はまだ続く。【石原 嵩】

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