7歳の夏

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 ニューヨーク駐在中の友人一家がシアトルにやって来た。アムトラック「コースト・スターライト」に乗ってシアトルからロサンゼルスまで行くためだ。
 一家の7歳の坊やは、幼い頃から大の乗り物好き。特に列車には目が無く、模型を集めて遊ぶだけではなく、私鉄・JRを問わず東京近辺の鉄道や新幹線などについて驚くほど豊富な知識を持っている。そんな訳で、一家のアメリカでの初の夏の休暇も、シアトルで飛行機工場を見学し、西海岸を北から南に列車で縦走することに決まった。
 シアトルを午前10時頃に出発するコースト・スターライトは、ピュージェット湾の波打ち際を走り、オレゴンとの州境のコロンビア川を渡り、ポートランドへ。ウィラメット川沿いの緑したたる平原をしばらく南に進んだところで、ユージーンあたりから上り道が始まる。山を越えてクラマスフォールに着くのが午後10時、カリフォルニア州に入る頃に日付が変わる。サクラメント辺りで夜が明けてもう一日を走り続け、ロサンゼルス到着は午後9時だ。移り変わる景色を見ながら寝台車で、時には展望車、食堂車、プレイルームで過ごす丸1日半。「ついた時にはグッタリしてるかも」との親のちょっぴりの心配をよそに、まずは元気に列車に乗り込んだ。
 数日前にはシアトルから、これも7歳の孫が妹、母親と一緒に広島へ向かった。日本の小学校生活を体験するためだ。かつて彼の祖母が通い、アメリカ生まれの母親も一カ月の体験入学をしたという江田島の小学校で、14人の同級生と過ごす2週間。毎週土曜日の学校などで学習を重ねた日本語の力試しであり、力をつける機会だ。
 荷物の到着が遅れて水着が無く級友と一緒に泳げないというハプニングはあったものの、学校生活を楽しみ、花火でも遊んだとの便りが届いたばかり。これもたくさんの土産話を抱えて戻ってくることだろう。
 指折り数えて待った夏の旅が、いずれも最後までつつがなく終わり、素晴らしい思い出となることを祈念してやまない。【楠瀬明子】

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