去りゆくもの

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 2010年もあとわずか。新年へのカウントダウンが始まろうとしている。今年も世界中でさまざまなニュースが飛び交った。
 イチローの10年連続200本安打達成が歓喜を呼んだのに対し、菅内閣の指導力のなさは国民を落胆させるばかり。
 そんな2010年に去っていった者たち—。日本では女優の池内淳子さん。美しいだけでなく芯の通った性格で、共演者からも慕われていたという。いまだ悲しみを引きずるファンも多いのではないだろうか。
 米国では、「ティファニーで朝食を」などで知られる映画監督ブレイク・エドワーズ氏が記憶に新しい。数々の名作を世に残し旅立った彼は、死の直前まで次回作の構想を練っていたという。
 そんな年の瀬を迎えたある日、日本から従姉妹の突然の悲報が舞い込んできた。享年43歳の若すぎる死。2人の可愛い子供たちと家族から彼女を奪ったのはガンだった。クリスマスイブに、長い闘病生活に静かに幕を下ろした。
 両親からの深い愛情のもとすくすくと育っていった少女は、まるで「花」のごとく可憐な女性だった。抗がん剤治療で日に日に髪が抜け落ちようとも、自らの病と真っ向から立ち向かい、苦しいはずの闘病中も常に周りへの心遣いを忘れなかった。温厚な人柄の内に秘めた強靭な精神力に、みなが驚かされた。美しいものには強い芯が備わるのだろう。
 突然の旅立ちに接し、目に浮かぶのは優しい笑顔ばかり。最愛の娘を亡くした伯父と伯母の気持ちを察すると無念でならない。
 しかし、大好きな両親に見守られた最期というのは、娘にとって、安らかで愛情に包まれた幸せな最期だったのかもしれない。彼女は長い戦いの末にやっと安住の地を手に入れた。
 ひとりこの世から去ると、またひとり新たな生命が生まれ、こうして我々の世界は悲しみと喜びが循環していくのだろう。
 2010年に去っていった方々のご冥福をお祈りするとともに、2011年も皆様にとって素晴らしい一年になりますよう、心からお祈り申し上げます。【吉田純子】

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