国際交流基金:専門家招きCSRセミナー―日系企業と連携呼び掛け

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講演を行うリック・ワーツマン氏

 「国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター(菅野貢輝所長)」はこのほど、トーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで「CSR」(Corporate Social Responsibility、企業の社会貢献活動)のセミナーを催し、日系企業に勤める参加者ら約40人が知識を深めた。専門家による講演に加え、昨年基金が実施した在米日系企業のCSR活動の調査結果を発表し、企業との連携を呼び掛けた。
 リック・ワーツマン氏(クレアモント大学大学院ピーター・ドラッカー研究所所長)が「戦略的なCSR」と題した基調講演を行った。同氏は、利潤追求など経済的業績のみならず、企業は「社員、顧客、社会、環境などかかわるすべての人、物に対して責任を持つべき」とCSRの基本を強調。活動は「各企業の事業内容から離れたものではなく、中心的事業に沿ったものを」とアドバイスした。グローバル企業数社の各国・地域での独自のCSR活動の成功例を挙げ「貢献により自社の宣伝になればマーケティングで優位に立つことができる」と主張。その一方で、誇張するなどし広報のツールとして使うことや財政を超えたサポートは危険だとした。
 同氏は、日系企業の自動車や電化製品、資源再利用など地球に優しい生産活動、技術などを高く評価する。これらは「環境のみならず、販売価格を下げたり、生産コストの削減にも寄与し投資にもつながるCSRである」と指摘。「日本人は、世界をリードするこれらの得意分野で活動を続ければいい」と助言する。さらに、社会奉仕などの労働力の提供も勧めた。

公的機関と私企業のコラボレートを希望する大海渡氏

 来米した大海渡憲夫氏(同基金日米センター参与)は、日米両国の関係や交流の促進を目指して活動する。スピーチでは「日米の相互協力・信頼を築くためには、文化の果たす役割が大きい」と力説。「日米関係は良好であるが故に交流は稀薄化している」と危惧する。そのため、同基金など公的機関と私企業のコラボレートを提唱し、研究補助や芸術・文化交流などでの補完し合ったCSR活動を呼び掛けた。
 同基金による今回の調査は昨年、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)の協力の下、同地域とニューヨーク、シカゴ他主要5都市で事業展開する日系企業を対象に実施。富岡順一氏(同基金事業戦略開発室長)が結果を報告した。
 調査によると、活動は6割を超える日系企業が行っているという(148社回答)。未実施の企業でも計画か検討中が約4割に達しており、関心の高さがうかがえる。形態別で見ると高い順に、資金支援、社員ボランティア、物品贈与やサービスの提供、自主企画(奨学金授与など)、社外の活動への会社施設の提供など多岐にわたる。配慮している点は、地域社会との共生、雇用の維持・創出、技術移転、労使協調関係に重きを置いている。まだ活動を行っていない企業は、人的余裕や予算、知識のなさなどの理由で実行できないという。
 在米日系企業のCSRの特徴としては、地域貢献とともに芸術・文化、学術研究、国際交流・協力などの分野での比率が他国と比べて高い。成熟したCSR活動を行う米国での方向性として、「地域に愛される企業市民」としての地位を深化させ、高い企業ブランドの獲得につながる活動が重要としている。
 金銭のみならず「人的支援」の重要性を訴える菅野所長は、海外交流は従来、在外公館の事業だったと説明。だが現在は「企業が実質的なプレーヤーである」と参加者を激励。同基金との連携プレーを求めた。【永田潤、写真も】

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