年の瀬に思うこと

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 先日、久しぶりに歯医者のN先生を訪ねた。差し歯の治療だ。もう今年もあと残りわずかですね、との会話から年々時が経つのは早いですね、に。通い始めたのは17年も前だ。開業したての当時、彼はまだ20代後半。われわれ50歳数年手前の同年代同士。妙に「時の流れ」をお互いに納得。
 ところで自分は、昔目標として掲げた事のうちどれだけ達成しただろうか、と反省し過去を振り返る。
 今では、無理して徹夜で仕事なり、遊びなりすると翌日は明らかに疲れが溜まり二、三日の回復時間を要する。肉体労働である撮影現場での仕事は、だんだんときつくなってきている。若い頃のエネルギーや限りない展望感は消えつつある。白髪も増え、老眼も始まり、腰痛も再発し、胃ももたれる。
 かといって、では昔のように戻りたいか、と言えば、不思議とそうは思わない。年を重ねたことによってこれまでわからなかった謎が解けたし、新たな発見があったからだ。演歌の奥深さ、ドラ焼きの美味しさ、日本の祭りの高尚さ、文学の面白さ、そして年末年始の大切さが身にしみて感じられるようになったからだ。
 物事を現実的、客観的に見られる視野が多少は広がり、社会のシステム、人間関係にも何とか適用出来るようになってきた。いらない不安も消え、精神的に楽になったのも事実だ。もちろん今まで失敗、後悔も山ほどあったが、もうそれはそれでしょうがないし、受け入れるしかない。
 最近、映画見本市で見たピアノを弾く猫がやたらかわいく見えて癒された。アメリカ人の友達に頼まれて久し振りに折り紙で鶴を作ったら、なぜか異様に落ち着いた。ディズニー映画の「Tangled」に感動して嬉しくなった。俳句や盆栽の楽しみなど、これからまだまだ新たな発見に興味津々である。
 年内、あと一回治療に行くが、歯医者通いは、今後も数十年は続くであろう。【長土居政史】

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