日米文化会館:「鳥獣人物戯画」と「大津絵」展―小阪氏が描いた21点披露

0

軸装された大津絵を披露する小阪氏

 日米文化会館のビジュアルアーツディレクター小阪博一氏が描いた日本伝統の「鳥獣人物戯画」と「大津絵」を紹介する水墨画展覧会が同館のドイザキギャラリーで開催されている。個展は23日まで催され、現代の「蟲(虫)」をテーマにした作品を加えた全21点は販売され、売上げは同館の活動資金に充てられる。

大皿に描いた大津絵

 日本最古の漫画として知られている鳥獣人物戯画(12世紀の平安期)は、国宝に定められた芸術性の高い絵巻物。小阪氏は実物を模写するのではなく、想像力を働かせストーリー仕立てで戯画した。蛙や猿、狐、フクロウ、キジ、ウサギ、鹿、猪、ホームレスなどが登場する。
 計4点の鳥獣人物戯画はすべて額装(横5フィート)されているが、実物と同じ絵巻をイメージしたシリーズ物で、左から右方向へと流れストーリーが展開する。人のように二足歩行し、水瓶、カボチャ、栗などを運んだりする。共同作業する働き者もいれば、蹴鞠や弓矢、かくれんぼに興じる者もいておもしろい。
 大津絵(18世紀の江戸期)は、東海道五十三次の終着にあった多くの宿場やお茶屋、みやげ物屋で売られた民芸品に装飾された素朴な絵をいう。旅の安全を祈るお守りやみやげ物などに用いられた。商人が描いたため作品とは言いがたいが、小阪氏は色彩を駆使し独特の発想でユーモラスに表現して芸術の域にまで高めている。
 雲の上の雷神が地上に太鼓を落とし、困った顔をして碇(いかり)を付けた綱を垂らして釣り上げたり、別の雷の入浴シーンも見ることができる。また、怖いはずの鬼だが、ここでは優しい僧侶となって念仏を唱えている。なぜか、天敵の猫にネズミが晩酌。酔ったすきに首に鈴を付けて、まんまと、護身のための警報装置の取り付けに成功。米アニメ「トムとジェリー」をほうふつさせる。多くが軸装されているが、床の間のない米国の家にも飾りたい気分になるのは、作品は笑い絵であるため日々の生活を豊かにしてくれるためだろう。色紙、大皿、短冊のものもある。

色紙に昆虫を描写した蟲(昆虫)の絵

 小阪氏が少年時代を過ごした京都・北山で採集した多種類の昆虫を描写した蟲(昆虫)の絵のかずかず。蚊、カマキリ、トンボ、バッタ、髪切り虫、鈴虫、ハチ、ホタル、てんとう虫、蝶々、イナゴ、ガ、などなど。ここ南カリフォルニアでは見られない種もあり、同氏と同じ団塊世代には、幼少時代を懐かしみ郷愁を覚えることに違いない。
 小阪氏は「鳥獣人物戯画はアニメで、こういう絵が平安時代の900年も前に描かれていたのがおもしろい。遊び心を持って見に来てほしい」と来場を希望している。
 ギャラリーの開館時間は火から金曜日が正午から午後5時まで。土日が午前11時から午後4時まで。月、祝日は休館。
 入場無料。問い合わせは、電話213・628・2725。
 www.jaccc.org
【永田潤、写真も】
鳥獣人物戯画は、さまざまな獣が登場する

Share.

Leave A Reply