「英国王のスピーチ」

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 毎年この時期になると、映画ファンの私としては、ワクワクしてくる。映画の授賞式シーズンだからだ。もちろん最大の注目は、2月27日に行われるアカデミー賞。昨年から作品賞のノミネート数を5作から10作に増やし業界の活性化をはかった。
 作品賞候補作のうちほとんどを鑑賞したが「インセプション」を見た時は、これがベストと思い、その後「ソーシャル・ネットワーク」を見た時は、これがベストに、「127時間」「ザ・ファイター」「ブラック・スワン」を見た時も、さすがの秀作で甲乙付け難くなってきた。
 ところがだ。「英国王のスピーチ」が一気に悩みを解決。問題なくベストだ。
 (ネタバレ注意)ストーリーは、内気な性格だった次男のアルバート王子(のちのジョージ6世、現女王エリザベス2世の父)は、幼い頃から吃音(きつおん)障害を抱えていた。公共の場でのスピーチは、極度に緊張が襲いうまく出来ない。フラストレーションがたまり、深刻に悩む。元気づける妻のエリザベス(1世)のアイデアで、言語障害療法専門士のライオネル・ローグを雇うことに。彼は、アルバート王子を「バーティ」と呼び、対等な関係を築き心の中へ入っていく。中年の男同士が、時には口論し、時には笑い合い、二人三脚で難関を乗り越えていく姿は新鮮に映る。やがては、友情も芽生えてくる。
 長男のエドワード8世王子は、恋を選び王冠継承を破棄したため、アルバート王子が国王に即位。当時は、ヒトラー率いるドイツがヨーロッパで侵攻を続けていた。
 特訓の成果を見せるエンディングのラジオ生放送のシーンは圧巻だ。第2次世界大戦開戦に向け緊張が高まる中、キング・ジョージは国民に勇気を与える最高のスピーチをやり遂げたのだ。国民、社会に対して多大なる責任感とプレッシャーを抱える国王のひたむきな努力に心を打たれた。国王も皆と同じ、個人的な悩みを抱いている人間である、と共感し応援したくなった。深く感情移入できたのは、自分も幼い頃、言語障害の症状があり幼稚園に入園拒否された経験があったからだ。【長土居政史】

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