『99年の愛』

0

 日系アメリカ人の歴史を描いたTBSテレビドラマ『99年の愛』は昨年11月、日本で放映された。「移民の人は苦労したのですね。本当にあんな砂漠のような場所がカリフォルニアにあるのですか」などと尋ねる知人には、知っている限りで日系社会の歴史を説明した。暮にはロサンゼルスで録画を見てきた家族からも「いい作品だった」と聞き、待つうちに先月、私にも見る機会が巡ってきた。
 ドラマの中心舞台がシアトルとされているため、昨春のシアトル近郊での撮影に関係した地元人も多い。「知人の息子が出演している」、「私は農夫の役。豆粒のように映っただけだが、エキストラとして楽しい1日だった」、「声がかかったけど、都合が悪くて参加できず残念」等々を身近に聞いているだけに、いっそうの興味を持って画面に見入った。
 これまでに読んで知っていたことや、一世・二世の知人から直接聞いたことがぎっしりと盛り込まれた、感動のドラマだった。あんな戦場を潜り抜けたのかと、冬になると痛む古傷を抱えていた元442部隊兵士の知人を思い浮かべた。「たくさんの人に見てほしい」と友人と話したことだ。
 ドラマ誕生のきっかけをもたらしたのは、シアトル在住の峰岸良彰さん。島根出身のある一世男性に興味を持って筆を執り、脚本家の橋田壽賀子さんに送ったことから交流が始まった。
 シアトル日系の人々のインタビューを集めたデジタル博物館「伝承プロジェクト」も全面的に協力。トム・イケダ館長とスタッフも、でき得る限り史実に裏打ちされた作品に仕上がるよう、峰岸さん共々日本からの脚本に目を通したという。
 とは言え、辛い実際の体験者から「あんなものではなかった」との声があったと聞く。未成年二世の不動産購入資格等について誤りを指摘する投稿もあった。日系五世となる少年を含む家族の全員が日本語を流暢に話すという設定に、違和感を覚えた人は少なくないだろう。
 しかし、それらを差し引いてもなお、「知られてなかった日系史」を多くの人に知らせる、素晴らしい作品だと信じる。今後も一人でも多くの人に見てもらえることを願っている。【楠瀬明子】

Share.

Leave A Reply