五嶋龍、今年初のリサイタル:響く美しい音色に陶酔

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巧みなテクニックで美しい音色を奏でる五嶋龍

世界中の聴衆を魅了し、余すことなくその音楽性を開花させている若きバイオリニスト五嶋龍が16日、セリトス舞台芸術センターで今年初のリサイタルを開催した。老若男女問わず多くのファンが詰めかける中、アメリカ人観客の姿も目立ち、米国での注目度の高さと期待の表れを示していた。演奏が始まると、その巧みなテクニックと響き渡る美しい音色に聴衆は酔った。

楽しそうに生き生きと演奏する五嶋龍

「一つひとつの音に自分の感情を注ぎ込み、感じたことをそのまま表現したい」その言葉を体現するかのように、公演ではプロコフィエフのバイオリンソナタ第1番、ミルシティンのパガニーニアーナ、ブラームスのバイオリンソナタ第3番、ラヴェルのツイガーヌをなめらかに、そして時に激しく弾きこなす。
 観客からの熱いスタンディングオベーションに応え、アンコールではクライスラーの「美しきロスマリン」とパガニーニの「『うつろな心』による序奏と変奏曲」を演奏。鳴り止まない拍手とともに客席からは「ブラボー」と叫ぶ声や龍コールも聞こえた。
 「音で遊び、聴衆と一緒に共感したい」時折観客のほうに視線を向ける姿は、自身が解釈した曲の世界に聴衆をいざない、溶け込もうとしているかのよう。ひとたびバイオリンを奏でると、音の気持ち良さが伝わり、何よりも楽しそうに生き生きと演奏するのが印象的だ。
 当日の使用楽器は1983年のぺルソン。名器ストラディバリウスでの演奏が聴けるかと期待がかかったが、メンテナンスに入っていたため今回はおあずけとなった。
 母・五嶋節さんによると今回のバイオリンは、「13歳の時に本人がポケットマネーで買ったもの。楽器が何であれ、本人にとっては弾けることが幸せ」なのだという。
 会場にはバイオリンを背負った子どもや、中・高校生の若者も多くみられた。アーバイン在住の堤光太郎君(15)は4歳からバイオリンを習いはじめ、五嶋の「力強い演奏が好き」だという。母・みゆきさんもファンで、父・英久さんは昨年5月に行われた五嶋のカーネギーホールでのデビューコンサートにも聴きに行ったという。
 

リサイタル終了後、求められるサインに応じ、ファンとの触れ合いを楽しむ五嶋龍

演奏後にはファンとの触れ合いの時間が設けられ、求められるサインや記念撮影に心よく応じる五嶋と、積極的に質問し、憧れのバイオリニストとの対面を感激の面持ちで楽しむファンの姿があった。
 バイオリン以外にも趣味でギターを演奏し、DJにも挑戦してみたいという。ニューヨークで開かれるエレクトロニック・ズー・フェスティバルにも足を運び、クラシック以外にもヒップホップやハウスなどさまざまなジャンルに造詣があり、音楽への好奇心は枠にとらわれない。
 6月にハーバード大学卒業を迎え、「バイオリンはもちろん、今後はほかの音楽にも楽しむ時間が増えたらいい」と胸をはずませる22歳の青年の姿があった。
 ストラディバリウスの音色とともに再び戻ってきてくれることに期待がかかる。【吉田純子、写真も】

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