相撲を忘れ早春は野球を

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 来週13日に初日を迎えるはずだった大相撲春場所。ここ数年、度重なる不祥事があり開催が危ぶまれたことがあったものの、何とか耐えて開催にこぎ着けてきた。だが、今回初めて事故など例外を除き本場所が中止となってしまった。
 力士、親方らが犯し、起訴にまで発展した野球賭博に端を発する一連の事件。捜査段階で携帯電話の記録のやりとりから思いもよらぬ八百長が発覚した。度々疑惑を否定し「存在しない」としていた同協会だったが、動かぬ証拠が出ては言い訳は通じるはずもない。理事長が「根幹を揺るがす問題」と言ったように、角界に走った激震は治まることなく、新たな関与力士の名が挙がることも囁かれ怖い。
 最もあってはならない恥ずべき行為が明るみに出れば、今までの謝罪、猛省どころか、場所中止は当然だった。「星の貸し借り」とされる、義理人情ならまだ許す余地もあっていいが、金銭絡みとなると弁護のしようもない。
 春場所は「就職場所」とも呼ばれるように、学業を終えた多くの新卒者が入門し、初土俵を踏むことで知られている。引退力士の多くが思い出の場所を「初土俵の春場所」と涙ながらに振り返ると、もらい泣きしたくなる。
 そんな思い入れがあるだけに、中止は年6度ある楽しみの単なる1場所どころか、ファンにとっては胸の中にポッカリと穴を空けられた気がする。次の夏場所は、是が非でも開いてもらいたい。それに向け、急がれるのは実態解明。ところが、証拠となる携帯電話を未提出の力士もおり、じれったい。
 陽気な春に暗い話題はよくない、切り替えよう。今は、球春まっただ中。日米で選手たちが調整に努めていて、開幕が持ちきれない。また、甲子園ではセンバツ高校野球も開かれる。球児の全力プレーを見ると、すがすがしい気分になる。相撲のことは、ひとまず忘れて早春は、野球を楽しもう。【永田 潤】

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